- 「ボーナスをもらってから辞めたいけど、いつ言えばいい?」
- 「先に辞めるって言ったら、ボーナスを減らされる?」
その心配は当たっている。
辞めると伝えたあとのボーナスは、実際に減らされることがあるからだ。
僕は高卒で入った金属加工の工場を辞める時、冬のボーナスをもらってから辞めると伝えた。
タイミングは正しかったはずなのに、引き止めで半年延び、次の夏のボーナスは、いつもの30万円以上から15万円くらいになった。
🦥 ボーナスをもらってから辞めたい人へ(この記事の結論)
- 辞めると伝えるのは支給日のあと:振込を確認してからが基本
- 支給日に在籍していないともらえない会社が多い:就業規則の賞与の決まりを先に確認
- 辞める予定の人のボーナスは減らされることがある:裁判では「これからの期待」の分として2割の減額が認められた例がある
- 僕は30万円以上が15万円くらいに:伝えたあと引き止めで半年延び、次のボーナスまで残ってしまった
- 引き止めに付き合う義務はない:正社員なら、辞めると伝えて2週間で辞められるのが法律の原則
ただ、今振り返ると、減らされたボーナスより、延ばされた半年の方がずっと大きな損だった。
ボーナスをもらってから辞めたい人は、どこに気をつければいいのだろうか?
もくじ(タップで開閉)
- 第1章:ボーナスをもらってから辞めるなら、退職を伝えるのは支給日のあと
- ◾️ボーナスは「支給日に会社にいる人」にしか払われないことが多い
- ◾️支給日の前に伝えると、査定で下げられることがある
- ◾️伝えるのは振込を確認してから、同僚にも先に話さない
- ◾️有休消化中でも、支給日に在籍していればボーナスはもらえる
- 第2章:【体験談】ボーナスをもらってから辞めると伝えたのに、30万円が15万円になった
- ◾️社長にも、他の部署の部長にも引き止められた
- ◾️「人がいない」まま、半年ズルズル延びた
- ◾️夏のボーナスは、いつもの半分くらいだった
- ◾️それでも最後まで残ったのは、お世話になったから
- 第3章:辞める人のボーナス減額は、どこまで許されるのか
- ◾️裁判では「辞める人の減額」は2割まで認められた例がある
- ◾️納得できない時は、まず就業規則を見て、労働局に相談できる
- ◾️もらったボーナスを「辞めるなら返せ」と言われても、返す必要はない
- 第4章:退職の引き止めで辞めさせてもらえない時は、2週間で辞められる
- ◾️正社員は、辞めると伝えて2週間で辞められるのが原則
- ◾️引き止められた時は、退職日を先に決めて伝える
- ◾️自分で言えない・辞めさせてもらえない時は退職代行もある
- 第5章:冬のボーナスをもらってから辞める時のスケジュール例
- ◾️転職するなら、入社日はボーナスの支給日のあとにする
- あとがき:ボーナスより大事なのは、辞める時期を自分で決めること
第1章:ボーナスをもらってから辞めるなら、退職を伝えるのは支給日のあと
ボーナスをもらってから辞めたいなら、辞めると伝えるのは支給日のあとにする。
これが基本だ。
◾️ボーナスは「支給日に会社にいる人」にしか払われないことが多い
多くの会社は、就業規則で「ボーナスは支給日に在籍している人に払う」と決めている。
支給日の前に辞めてしまうと、査定の期間に働いていても1円ももらえないことがあるのだ。
この決まりは、最高裁でも有効とされている(大和銀行事件・1982年)。
だから「支給日の前日に辞める」は一番もったいない辞め方になる。
まずは自分の会社の就業規則で、ボーナスの支給日と「在籍していること」が条件になっているかを確認してほしい。
◾️支給日の前に伝えると、査定で下げられることがある
辞めると先に伝えると、支給日にまだ在籍していても、査定で下げられることがある。
ボーナスには「これまでの働きへの対価」と「これからも頑張ってほしいという期待」の両方が入っていて、辞める人には期待の分が乗らないからだ。
◾️伝えるのは振込を確認してから、同僚にも先に話さない
支給日に会社にいて、振込を確認してから伝える。
これで「もらえない」と「査定で下げられる」の両方を避けられる。
それと、上司に伝える前に同僚に話すのはやめておいた方がいい。
噂は思っているより早く上に届くので、それだけで査定に響くこともある。
◾️有休消化中でも、支給日に在籍していればボーナスはもらえる
支給日が有休消化の期間に入っていても、退職日より前なら会社に籍があるので、ボーナスはもらえる。
だから退職日は「ボーナスの支給日のあと」に置いて、その前に有休を消化するという形でも大丈夫だ。
ボーナスは、これまで働いた分への対価でもある。
もらってから辞めることに、後ろめたさを感じる必要はないと思う。
第2章:【体験談】ボーナスをもらってから辞めると伝えたのに、30万円が15万円になった
ここからは僕の話だ。
高校を卒業して入った金属加工の工場を辞めると決めて、たしか冬のボーナスが出たあとに辞めると伝えた。
タイミングとしては、第1章で書いた基本どおりだったはずだ。
◾️社長にも、他の部署の部長にも引き止められた
意外にも、直属の課長には引き止められなかった。
その課長は、僕の課の仕事をほとんど知らない人だったので、残業をしない僕のことを「仕事をしないやつ」くらいに思っていたのかもしれない。
引き止めてきたのは、むしろ上の人たちだった。
社長は「君は仕事ができるから残ってほしい」と言い、自分も何度も辞めようと思ったけど、辞めなかったから今の立場になれたこと、奥さんが支えてくれたのが大きかったことを話してくれた。
他の部署の部長は昼休みにわざわざ来て、「なんか納得できんことあったん?」「辞められたら寂しくなる」と言ってくれた。
どちらも、悪い人たちではなかった。
だから余計に、強く断れなかったのだ。
◾️「人がいない」まま、半年ズルズル延びた
ただ、代わりの人はいつまでも来なかった。
「人がいないから」のまま年が明けて、気づけば春になっていた。
5月になって、さすがに腹が立って「もう来月から来ませんよ」と伝えると、1週間で他の部署から人を連れてきた。
そこから7月の中旬まで引き継ぎをして、残っていた有休を消化して辞めた。
▶︎【心が壊れる前に】仕事を辞めたいのに言えない人へ|自己犠牲をやめる“逃げる”哲学
◾️夏のボーナスは、いつもの半分くらいだった
7月の中旬までいたので、夏のボーナスの支給日にはまだ在籍していた。
ただ、その時にはもう退職日が決まっていた。
振り込まれたボーナスは15万円くらいだった。
いつもは30万円以上あったので、半分くらいになる。
会社から理由の説明は、特になかった。
冬のボーナスのあとに伝えたのに、引き止めで半年延びたせいで、次のボーナスを「辞める人」としてもらうことになったのだ。
支給日のあとに伝えても、辞めるまでが長引けば、次のボーナスで同じことが起きる。
これは、どの記事にもあまり書かれていない落とし穴だと思う。
◾️それでも最後まで残ったのは、お世話になったから
正直に言うと、半年残ったのは自分で選んだことでもある。
引き止めてくれた人たちの顔を思い浮かべると「お世話になったし、最後はちゃんとしてあげたい」と思ってしまった。
だから仕方ないと思っている。
ただ、もし同じ状況の人がいたら、言いたいことは1つだけだ。
🦥 あの時の僕に言いたいこと
ボーナスを気にしていたら、いつまでも辞められない。法律的に辞められるんだから、辞めたいと思ったら、人のことは考えずに早く辞めた方がいい。
第3章:辞める人のボーナス減額は、どこまで許されるのか
ボーナスは、毎月の給料と違って、法律で必ず払わなければいけないものではない。
いくら払うかは、会社の決まり(就業規則や賃金規程)しだいだ。
◾️裁判では「辞める人の減額」は2割まで認められた例がある
辞める予定の社員の冬のボーナスを、会社が8割以上減らした裁判がある(ベネッセコーポレーション事件・東京地裁1996年)。
裁判所は、ボーナスの「これからの期待」の部分について、辞める人とそうでない人に差をつけること自体は不合理ではないとした。
ただし8割以上の減額は多すぎるとして、認めた減額は2割だけだった。
僕の場合は、いつもの半分くらいなので5割ほど減っている。
この裁判の考え方だけで見ると、減らしすぎだった可能性はある。
ただ、ボーナスの金額は会社の業績や査定でも変わるので、「違法だった」とまでは言えない。
(僕は弁護士ではないので、ここは一般的な考え方として読んでほしい)
◾️納得できない時は、まず就業規則を見て、労働局に相談できる
減らされた理由に納得できない時は、まず就業規則で賞与の決まりを確認してほしい。
そのうえで、各都道府県の労働局や労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」で、無料で相談できる。
◾️もらったボーナスを「辞めるなら返せ」と言われても、返す必要はない
ボーナスをもらってすぐ辞める人に「返せ」と言う会社もあるらしい。
でも、辞めることを理由にお金を返させる決まりは、労働基準法16条(賠償予定の禁止)に反して無効になる可能性が高いとされている。
もらったボーナスは、基本的に返さなくていい。
第4章:退職の引き止めで辞めさせてもらえない時は、2週間で辞められる
僕が一番伝えたいのは、ここだ。
◾️正社員は、辞めると伝えて2週間で辞められるのが原則
正社員のように、働く期間が決まっていない雇用の場合、辞めると伝えてから2週間たてば辞められる(民法627条)。
就業規則に「1か月前に申し出ること」と書いてあっても、民法の方が優先されるという考え方が一般的だ。
会社が「人がいないから」と言っても、それは会社が解決する問題で、辞める人が埋める義務はない。
(契約社員のように期間が決まっている人は、ルールが違うので注意してほしい)
◾️引き止められた時は、退職日を先に決めて伝える
「人が見つかるまで」と言われると、終わりが見えなくなる。
僕が「来月から来ません」と言った途端に人が来たように、日付を決めて伝えると話が動く。
引き継ぎをするにしても、「◯月◯日まで」と区切ってから始めた方がいい。
◾️自分で言えない・辞めさせてもらえない時は退職代行もある
上の人に何度も引き止められると、自分で断り続けるのはしんどい。
そういう時は、退職代行に頼むという手もある。
▶︎【退職代行の最安値】は結局損をする:確実に即日退職するための退職代行業者の選択
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第5章:冬のボーナスをもらってから辞める時のスケジュール例
冬のボーナスをもらってから辞める場合の流れを、例として並べるとこうなる。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 10〜11月 | 就業規則で賞与の支給日と在籍の条件を確認する。転職するなら次の仕事を探し始める |
| 12月上旬〜中旬 | ボーナスの支給日。振込を確認する |
| 振込を確認したあと | 上司に辞めると伝える。退職日も一緒に伝える |
| 伝えてから2週間〜1か月 | 引き継ぎ。終わりの日を決めてから始める |
| 最後の数週間 | 残っている有休を消化する |
※ボーナスの支給日は会社によって違う。夏のボーナスなら6〜7月で同じ流れになる。
◾️転職するなら、入社日はボーナスの支給日のあとにする
次の会社が決まっているなら、入社日を今の会社のボーナスの支給日より後にしておく。
ただ、面接で「ボーナスをもらってから入社したい」とそのまま言うのは、印象がよくないのでやめておいた方がいい。
「引き継ぎに1か月ほどかかる」のように、退職までの期間として伝える方が話が通りやすい。
辞めたあとに入ってくるお金と出ていくお金は、シミュレーターでまとめて計算できる。
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あとがき:ボーナスより大事なのは、辞める時期を自分で決めること
ボーナスをもらってから辞めたいと思うのは、当たり前のことだ。
ただ、ボーナスを待っているうちに次のボーナスが来て、また待って、という人は多いと思う。
僕もそうやって、冬から夏まで残ってしまった。
引き止めてくれた人たちに感謝はしている。
でも、辞めると決めたなら、辞める日を決めるのは自分であっていい。
ボーナスの金額より、その方がずっと大事だったと、今は思う🦥
📚 この記事で確認した資料
大和銀行事件(最高裁 昭和57年10月7日):賞与の支給日在籍要件
ベネッセコーポレーション事件(東京地裁 平成8年6月28日):退職予定者の賞与減額/ITmedia「退職予定者のボーナス大幅減は違法か」
民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)/労働基準法16条(賠償予定の禁止)
厚生労働省「総合労働相談コーナー」
この記事は法律相談ではない。自分の場合が気になる時は、総合労働相談コーナーや弁護士に相談してほしい。
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