「失業保険は特定理由離職者として受給した方がいいらしい」
ざっくりとこういう知識を持ってる人は多いと思う。
だけど申請方法を理解していないと、失業後に損することになるかもしれない。
というのも僕がそうだった。
特定理由離職者という名前を覚えなくてもいい。
ただ、もしも退職する可能性があるなら知識として知っておいてほしい。
- 失業保険が「すぐ受け取れるか」の分かれ道がわかる
給付制限(約1ヶ月)を待たずに受給するための条件と、自己都合退職との決定的な違い。 - 病院で「診断書が出せない」と言われる理由と回避策
通院先の選び方や「仕事が原因」という文言へのこだわりで僕が詰んだ落とし穴。 - 「辞める前」にハローワークと病院ですべき最小限のアクション
退職後に慌てても手遅れになりがちな、国保減免や給付に関わる損を防ぐ段取り。
僕は建設業に従事していて肌荒れがひどくなり、病院に行っても改善しなかったので仕事を辞めた。
特定理由離職者として失業保険を受け取れなかったのは、先に診断書を書いてもらわなかったのが原因だと思う。
でもそれだけではなく、制度をしっかり理解していなかった。
この記事に辿り着いてくれたあなたには、僕のような経験はしてほしくない。
※もしも「自分が特定理由離職者に当てはまるのか」という疑問だけを解消したいなら、この記事を読むよりハローワークに問い合わせてもらった方が早いし確実だ。
もくじ(タップで開閉)
- 第1章:特定理由離職者になると失業保険はどう変わるのか
- ◾️失業保険を受け取るための最低条件
- ◾️特定理由離職者になると国民健康保険料が軽くなることも
- ◾️特定理由離職者の要件は「仕事が原因」ではなく「疾病により離職した」
- ◾️特定理由離職者になっても失業保険の日数は増えない
- 第2章:僕が特定理由離職者の診断書をもらえなかった理由
- ◾️アレルギー反応で社長に「病院行け」と言われた朝
- ◾️医師に「仕事を続けてる限り良くならない」と診断された
- ◾️働きながらだと病院に通えない
- ◾️新規の病院での診断名は「アトピー性皮膚炎」だった
- 第3章:ハローワークで「診断書はありますか」と聞かれた日
- ◾️「診断書には仕事が原因だとは書けません」と言われる
- ◾️特定理由離職者になれず僕が損したもの
- 🧮 国民健康保険料 軽減シミュレーター
- 第4章:医師が診断書に「仕事が原因」と書けない理由は3つある
- ◾️理由1:原因を特定するにはパッチテストが必要
- ◾️理由2:仕事が忙しくて病院を変えた
- ◾️理由3:労災と健康保険は同時に使えない
- 第5章:労災として受診しておけば診断書の問題は起きなかった
- 第6章:特定理由離職者の前に傷病手当金が受給できないか検討してほしい
- ◾️労災を使わなかった理由は「恨みがないから」
- ◾️傷病手当金を使わなかった理由は「社長に悪いから」
- ◾️特定理由離職者になれなかったのは仕事を止めたくなかったから
- 第7章:退職代行を使って仕事を辞めても特定理由離職者になれる
- 第8章:特定理由離職者を狙うなら辞める前にやっておくこと
- 📋 特定理由離職者と診断書:よくある質問
- あとがき:特定理由離職者になれず損はしたが後悔はしていない
| 比較項目 | 一般的な自己都合 | 特定理由離職者 |
|---|---|---|
| 受給までの待ち時間 | 給付制限あり (約1ヶ月待たされる) |
給付制限なし! (7日の待期後すぐ受給) |
| 必要な加入期間 | 通算 12ヶ月以上 | 通算 6ヶ月以上でOK |
| 国民健康保険料 | 全額自己負担 | 大幅に軽減される場合あり (所得を7割カット換算など) |
| 認められる主な要件 | 「別の仕事がしたい」「何となく疲れた」など自己都合 | 病気・ケガ・体調不良、雇い止め、介護・引越し等の家庭急変 |
第1章:特定理由離職者になると失業保険はどう変わるのか
失業後損したと書いたが、まず何を損したのかをはっきりさせておきたい。
自己都合で仕事を辞めると失業保険はすぐ受給できない。
ハローワークで手続きを済ませ、待期を過ごしたあとに給付制限という待ち時間がさらに乗ってくるからだ。
特定理由離職者として認められると、この給付制限がかからない。
つまり受け取れるまでの時間が短くなる。
貯金がない人にとっては大きな差になると思う。
通常の自己都合退職にあるような給付制限期間(約1ヶ月)が免除され、
7日間の待期期間が明ければすぐに失業手当を受け取ることができる
※2025年4月の法改正で、自己都合の給付制限は原則1か月に短縮された。それでも「無収入で1か月待つか、7日後すぐ受給できるか」は、手元資金に余裕がない退職直後には大きな差になる。
※ただし例外がある。5年以内に3回以上、自己都合で辞めている場合は、いまも3か月の給付制限がかかる。逆に、離職前1年以内に厚生労働大臣が指定する教育訓練を受けていた場合などは、自己都合でも給付制限がかからないことがある。自分がどれに当たるかは、ハローワークで確認してほしい。
◾️失業保険を受け取るための最低条件
時間を奪いたくないので、まずは失業保険を受給する資格があるかないかの基準を伝えようと思う。
基本的に以下の条件を満たしていないと、特定理由離職者になれないどころか失業保険を受け取ることもできないこともある。
| 退職の区分 | 必要な加入期間(被保険者期間) | 受給ハードル |
|---|---|---|
| 一般の自己都合 転職、個人的な理由など |
離職前2年間に 通算12ヶ月以上 |
通常基準 (1年以上の勤務) |
| 特定理由離職者 体調不良・雇い止め・家庭急変 |
離職前1年間に 通算6ヶ月以上でOK |
大幅に緩和! (半年で受給可) |
| 特定受給資格者 倒産・解雇などの会社都合 |
離職前1年間に 通算6ヶ月以上でOK |
大幅に緩和! (半年で受給可) |
・「1ヶ月」と認められるには、その月に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上(または就労時間数が80時間以上)必要。
・特定理由離職者でも「1年に6ヶ月以上」を満たせない場合、通常の「2年に12ヶ月以上」を満たしていれば受給資格を得られる。
・病気やケガで30日以上賃金の支払いがなかった休職期間がある場合、最大4年間までさかのぼって期間を計算できる特例がある。
◾️特定理由離職者になると国民健康保険料が軽くなることも
仕事を辞めると健康保険は自分で払わなければいけない。
ただ離職の理由によっては国民健康保険料が安くなることもある。(保険料を計算するときに前年の給与所得を低く見てもらえる仕組みがある)
対象になるかどうかは、失業保険申請時にハローワークでもらう受給資格者証に書かれる離職理由のコードで決まる。
保険料の軽減割合も対象になるコードも変わることがあるので、住んでいる市区町村のページで確認しておいてほしい。
| 区分 | 対象コード | 主な理由 |
|---|---|---|
| 特定受給資格者 | 11, 12, 21, 22, 31, 32 |
倒産・解雇・事業所閉鎖など |
| 特定理由離職者 (体調不良・雇い止め等) |
23, 33, 34 | 23:雇い止め(更新なし) 33:病気・ケガ・家庭の急変 34:結婚転居・通勤困難など |
| 一般の自己都合 | 40, 4D など | 軽減の対象外(全額自己負担) |
・保険料の算定時に前年の給与所得を30/100(3割)として計算。
・期間は「離職日の翌日の属する月から翌年度末まで(最大2年間)」
※離職票だけでは申請できず、ハローワークで受給手続き後に発行される「雇用保険受給資格者証」を持参して市区町村窓口で申請する。
◾️特定理由離職者の要件は「仕事が原因」ではなく「疾病により離職した」
「どんな場合に特定理由離職者として認められるのか?」と気になると思う。
ハローワークが出している特定理由離職者の範囲にはこう書いてある。
体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
出典:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」(厚生労働省)
それともうひとつ僕が誤解していたことがある。
特定理由離職者は病気やケガで辞めた人だけのものじゃない。
大きく2つの型があって、当てはまる人はけっこう幅広い。
派遣や契約社員で期間が満了し、更新を希望したのに更新されなかった人がここに入る。
・自分から「もう更新しない」と断った場合は当てはまらない
・3年以上続けて雇われていた場合などは、さらに条件のいい「特定受給資格者」になることがある
・この型は失業保険をもらえる日数も優遇される(期限を区切った措置なので、最新の扱いは窓口で確認を)
僕が当てはまるはずだったのがこっち。病気やケガだけじゃなく、家庭の事情も並んでいる。
・体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などで辞めた場合
・親の死亡や病気で扶養が必要になった、家族の看護が必要になったなど、家庭の事情が急変した場合
・配偶者や扶養している家族と、別居を続けるのが難しくなった場合
・結婚での転居、保育所の都合、事業所の移転、交通機関の廃止などで通勤が難しくなった場合
・妊娠や出産や育児で辞めて、受給期間の延長を受けた場合
出典:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」(厚生労働省)
ここで大事なのは、診断書は絶対必要なわけではないということ。
家庭の事情で辞めたなら、必要になるのは診断書じゃなくて別の書類になる。
何が要るかは事情によって違うので、そこはハローワークで聞いたほうが早い。
| やむを得ない理由 | ハローワークで必要になる証明書類 |
|---|---|
| 病気・ケガ・体調不良 (筆者が該当したケース) |
・医師の診断書 (※ハローワーク指定の「就労可否証明書」用紙を渡されて医師に記入してもらうケースも多い) |
| 契約満了・雇い止め (派遣・契約社員) |
・労働契約書・雇用条件通知書(契約期間が明記されたもの) ・会社から更新しない旨が通知された書面やメール |
| 親族の介護・看護 | ・介護対象者の医師の診断書または介護保険証(要介護認定) ・住民票(続柄の証明) |
| 配偶者の転勤 | ・配偶者の辞令(転勤発令通知書)のコピー ・転居後の世帯全員の住民票 |
| 結婚・通勤困難による移転 | ・戸籍謄本または住民票 ・新居からの通勤経路図(往復4時間以上など困難になった事実) |
病気やケガの場合、病院独自の診断書ではなく「ハローワーク所定の就労可否証明書」への記入を求められる場合がある。仕事を辞める前や受給手続きの際に、一度窓口で用紙をもらっておくと二度手間を防げる。
◾️特定理由離職者になっても失業保険の日数は増えない
これはさっき伝えた仕事を失った状況による。
失業保険をもらえる日数が優遇されるのは、①の雇い止めのほうだ。
病気やケガで辞めた僕のような型は、失業保険の受給日数そのものは一般の自己都合退職と変わらない。
「受給期間の延長」というよく似た名前の制度もあるが、あれは就労不能と医師に判断された人が失業保険の受け取り開始時期を先送りするためのもの。
傷病手当金の話になるのでここでは割愛する。
| 区分・退職の理由 | 給付日数(もらえる期間) | 受給開始の早さ |
|---|---|---|
| 病気・ケガ・介護等 (コード 33・34) ※筆者が該当した型 |
日数は増えない (一般と同じ 90〜150日) |
制限なしですぐ! (待期7日後に支給) |
| 契約満了・雇い止め (コード 23) 派遣・契約社員など |
大幅に増える! (会社都合と同等:最長330日) |
制限なしですぐ! (待期7日後に支給) |
| (参考)一般の自己都合 転職、自己都合など |
通常の日数 (90〜150日) |
給付制限あり (約1ヶ月待たされる) |
病気やケガで仕事を辞めた場合、特定理由離職者になっても「もらえる日数」自体は伸びない。
その代わり「約1ヶ月の給付制限が丸ごと免除されて7日後すぐにお金が振り込まれ始めること」が最大の恩恵。
第2章:僕が特定理由離職者の診断書をもらえなかった理由
ここからは、僕がなぜ特定理由離職者として失業保険を受け取れなかったのかを書く。
先に言っておくと、制度を理解せず確認もしなかった僕が悪いと思っている。
あなたには正当な権利をしっかり受け取ってほしい。
◾️アレルギー反応で社長に「病院行け」と言われた朝
建設業(金物屋)で、フェンスや手すりを取り付ける仕事をしていた時の話。
グラウトやケミカルアンカーという材料を使うことが多かった。
その前日もグラウトを使い、気づかないうちに顔に粉が付着していたんだと思う。
朝起きると顔がパンパンに腫れていた。
それを見た社長に「病院行け」と言われ、その日の現場はキャンセルに。
痛みも痒みもあったが、自分の体質のせいで仕事を止めたことへの罪悪感が強かった。
(この日の話は建設業に向いてない人の特徴のほうに詳しく書いた)
◾️医師に「仕事を続けてる限り良くならない」と診断された
「病院行け」と言われたので、その足で地元の皮膚科に向かう。
医師は僕の顔と手を見て「薬で誤魔化せるとは思うけど、仕事を続けてる限り良くなることはないと思う」と診断した。
これは実質的に「仕事が原因だ」と言っていたようなもので、今考えるとこの時点で診断書を出してもらえばよかった。
ここで判断しなかったことが後で効いてくることを、当時の僕は想像もしていない。
◾️働きながらだと病院に通えない
アレルギー反応を抑える一番強い飲み薬と痒み止めの塗り薬をもらいその日は帰ることに。
もちろん病院には通い続けるつもりでいた。
だが、仕事をしながら病院に通うのは思っていたよりずっと難しい。
建設業という性質上、やりきりで仕事が終わることもあった。
それでも診療時間に間に合うほど早く終わる日はほとんどないし、たまたま早く上がれても休診日だったりする。
そうやって病院に行けない日が続き、僕は空いている別の病院に通うことにした。
| 調査項目・状況 | 割合・実態 | 主な理由・背景 |
|---|---|---|
| 体調不良でも我慢して出勤した人 (正社員516名への調査) |
4割以上 (頻繁にある8.7%+時々ある36.4%) |
理由の1位は「職場の同僚や上司に迷惑をかけたくない」(48.1%)。2位は「自分が休むと代わりに業務を行う人がいない」(47.2%)。 |
| 病気退職者が辞めた理由 (治療と仕事の両立断念) |
約 4 人に 1 人 (26.5%) |
「治療と仕事を両立できるような就業形態がなかった」が26.5%で第3位。1位は「症状や副作用等のため仕事を続ける自信がなくなった」(30.6%)、2位は「治療・療養に専念するため」(28.0%)。 |
・我慢出勤の実態:レバレジーズ株式会社(レバクリ)「体調不良時の出勤に関する実態調査」2026年7月・正社員516名
・治療と退職理由:独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)調査シリーズNo.241「治療と仕事の両立に関する実態調査(患者WEB調査)」2024年3月
◾️新規の病院での診断名は「アトピー性皮膚炎」だった
新しく通い始めた病院では前の病院と同じことを伝えたし、症状も見てもらった。
薬のおかげか気をつけたおかげか、顔の腫れはマシになっていたが手はボロボロだったし体にも湿疹が出ていた。
それでも診断結果はアトピー性皮膚炎とのこと。
「まぁ医師が言うならそうなんだろう」くらいにしか考えていない。
名前が何であれ、薬をもらって仕事に戻るだけだと思っていた。
職業病だと思っていたものに、体質の病名がついた瞬間だった。
そして僕は、退職日まで痒みとただれと睡眠不足を我慢しながらも普通に働いた。
第3章:ハローワークで「診断書はありますか」と聞かれた日
退職して、失業保険の申請をするためハローワークへ。
受付を済ませ相談窓口に座り、失業保険の申請に来たことと、たぶん特定理由離職者に当たると思うことを伝えた。
すると「診断書はありますか?」と確認され「もらっていない」と答えた。
職員さんは「受給にはまず説明会を受ける必要があるので、その日に診断書を持ってきてください」と言う。
ありがたい話だ。まだ間に合うということだったから。
◾️「診断書には仕事が原因だとは書けません」と言われる
診断書をもらわないといけないとのことだったので、その日のうちに転院先の病院へ。
受付で「特定理由離職者として失業保険を申請したいので、診断書を書いてほしい」と頼む。
「先生に確認します」と言われ10分ほど待ち、戻ってきた看護師さんの説明はこうだった。
「うちでは、本当に仕事が原因で皮膚のただれが起きていたか分からないので、仕事が原因という診断書は出せません」
今考えると診断書をもらっておけば特定理由離職者として通った可能性があったと思うが、あの時は「仕事が理由ではない診断書をもらっても仕方がない」と思った。
だから「わかりました」とだけ伝えて病院を出る。
失業保険の説明会の日、受付に行き「診断書をもらえなかったので、普通に受給します」と伝えた。
▶︎【体験談】失業保険のもらい方|ハローワークに3回行って受け取れたのは1回だけだった話
最初に通っていた病院に行けば、仕事が原因だという診断書を書いてもらえたかもしれない。
でも一度断られたので「どうせ無理だろ」と、診断書をもらうために病院へ行く気力はなかった。
しかし当時の僕は、一度「書けません」と言われた瞬間、見事なまでのスピードで「わかりました」と納得し、そのまま車に乗って帰路についてしまったわけである。
◾️特定理由離職者になれず僕が損したもの
結果として僕は、一般の自己都合退職として失業保険を受け取った。
給付制限の分だけ受け取りが遅れ、国民健康保険料の軽減も受けていない。
いくら損したのかは正直きちんと計算していない。ただ退職後に国民健康保険料を50万円ほど払ったので、特定理由離職者として認められていれば、そこはかなり抑えられていたと思う。
受け取れたはずのものを自分の行動のせいで受け取れなかった。
🧮 国民健康保険料 軽減シミュレーター
特定理由離職者(コード23・33・34)に認められた場合の節約額| 項目 | 通常の自己都合 (全額負担) |
特定理由離職者 (給与所得7割カット) |
|---|---|---|
| 算定対象の給与所得 | 0 万円 | 0 万円 |
| 年間保険料(概算) | 0 円 | 0 円 |
| 月々の支払額(約) | 0 円 | 0 円 |
・国の非自発的失業者軽減基準に基づき、前年の「給与所得」を100分の30(3割)として試算。
・国保料は各自治体の所得割率(標準約9〜11%)および均等割額をもとに算出した単身者の標準推計値。詳細な金額はお住まいの市区町村窓口で確認してほしい。
・軽減期間は「離職日の翌日の属する月から翌年度末まで(最大2年間)」適用される。
第4章:医師が診断書に「仕事が原因」と書けない理由は3つある
先に伝えた通り、診断書に仕事が原因と記載されていなくても特定理由離職者として認められる可能性はある。(必要な可能性があるのでハローワークに確認してほしい)
当時の僕はそれを理解しておらず、ただ「手の状態は見ているし明らかに仕事の材料が原因なのに、なぜ診断書には書けないんだろう?」という疑問が残った。
最近になって気になったので調べてみると、病院が仕事が原因と書きたくない理由が理解できた気がする。
◾️理由1:原因を特定するにはパッチテストが必要
接触皮膚炎で「この物質が原因だ」と断定するには、パッチテストという検査で確かめるのが基本になっている。
僕が通った病院ではパッチテストを行なっていなかったので、受けることができなかった。
そもそも必要なんて知らなかったし。
検査をしていない以上、医師が「仕事が原因です」と紙に書けないの仕方ない。
もし皮膚の問題で退職を検討していて、ハローワークで「診断書に仕事が原因である記載が必要」と言われたとしたら、早めに「仕事が原因と記載した診断書は作成できますか?」と確認してほしい。
しかし近場の皮膚科で「やっていません」と言われた瞬間「対応している別の皮膚科を探す」という選択肢を完全に放棄し、そのまま車に乗って帰宅してしまう。
◾️理由2:仕事が忙しくて病院を変えた
最初の病院では「仕事を続けてる限り良くならない」と言われたし「肌が気になるなら仕事を変えるしかないと思う」とも言われた。
きっとその場で診断書を作成してもらうか通い続ければ、仕事が原因であると記載された診断書を出してもらえていたと思う。
それなのに、仕事があったとはいえ自分で勝手に病院を変えた。
医師によって判断が違うのは当然だ。
もし仕事が原因だと診断されれば、その時点で診断書を出してもらってほしい。
逆に診断に納得できない場合は病院を変えれば診断内容が変わるかもしれない。
| 事例・ケース | 1軒目の診断・対応 | 2軒目の診断・対応 |
|---|---|---|
| 皮膚炎・アレルギー (筆者の実体験) |
「アトピー性皮膚炎」体質扱い。仕事が原因とは書けないと断られ、特定理由離職を断念。 | 「仕事を辞めないと治らない」最初の医師は環境起因と指摘。通院継続で診断書の道があった。 |
| メンタル・体調不良 (友人の実例) |
「特に問題ありません」不調を訴えるも病名がつかず、休職や給付制度の利用ができない状態に。 | 「双極性障害」と診断数ヶ月後に別の精神科で確定診断。適切な治療と手当(休職・給付)に繋がる。 |
別のクリニックを受診する初診料はせいぜい数千円。
一件で引き下がってしまうと、本来受け取れるはずだった失業手当の早期給付や国保の減免など、数十万円規模の生活防衛資金を失うことになりかねない。納得がいかない場合や必要な書類が出ないときは、遠慮せず別の医療機関へ相談してほしい。
◾️理由3:労災と健康保険は同時に使えない
診断書に仕事が理由と書いてもらえなかったのはこれが原因だと勝手に思っている。
仕事が原因の病気やケガに、健康保険は使えない。
そこは労災保険の担当になるからだ。
つまり「仕事が原因」と診断書に書いてしまうと、それまで健康保険で診てきた分を労災に切り替える話になる。
病院側からするとすごいめんどくさい。
理由がどうにせよ、先に確認しなかった自分が悪いのだが。
病院:これまでの請求を取り下げて、労災保険に出し直す事務が発生する
患者:期限を過ぎていれば、いったん自分で全額を立て替えることになる
出典:健康保険法/各都道府県労働局「よくあるご質問(健康保険で受診した場合)」
第5章:労災として受診しておけば診断書の問題は起きなかった
この記事を書きながら答えははっきりした。
顔が腫れて社長に「病院行け」と言われたあの日の行動が全てを決めた。
今さらだが、最初に労災として受診していたらと思う。
・健康保険との切り替え問題がそもそも起きない
・仕事が原因だという前提が、最初からカルテに残る
・転院しても、その記録が引き継がれる
・特定理由離職者の診断書も、たぶん出た
あの1日で、そのあとの全部が変わっていた。
セメント系の材料は、職業性の皮膚炎を起こす代表的な物質として昔から知られているらしい。
急性ならアルカリによる化学熱傷、慢性ならクロムによるアレルギーという形で。
労働安全衛生規則が「皮膚に障害を与える物質」として挙げているものの中にも、セメントの主成分は入っている。
つまり珍しくもなんともない昔から知られた職業病だったわけだ。
| 発症の要因 | メカニズム(原因物質) | 主な症状 |
|---|---|---|
| ① 強アルカリ刺激 (化学熱傷) |
水や汗と反応してpH12〜13の強アルカリに変化。皮膚の角質を溶かしてバリアを破壊する。 | 顔の腫れ・発赤 ピリピリした激しい痛み・熱感 |
| ② 金属アレルギー (感作反応) |
材料中に微量に含まれる「6価クロム」が傷ついた皮膚から侵入し、アレルギーを獲得。 | 手の皮むけ・水疱・ただれ 夜も眠れない強烈な痒み |
セメントに含まれる微量の6価クロムによる接触皮膚炎は、建設現場の職業病として古くから知られている。EUは2005年から、セメントが水に溶けたときに出る6価クロムの濃度を制限する規制を始めた(指令2003/53/EC)。左官や建設作業者の接触皮膚炎を減らすため、というのが目的だ。日本でも「セメントによる職業性皮膚障害は比較的多く発生しやすい」とされている。そんなこと当時の僕は知らない。
出典:欧州議会・理事会 指令2003/53/EC / 労働者健康安全機構「職業性接触皮膚炎」
第6章:特定理由離職者の前に傷病手当金が受給できないか検討してほしい
制度は知らないと損をする。
だけど知っていても制度を理解してなかったり、あえて使わない選択をしてしまうことはある。
僕は3つの制度を使えた可能性があるが、知っていながらも自分で権利を放棄した。
◾️労災を使わなかった理由は「恨みがないから」
仕事で使用する材料が原因で、顔が腫れて手の皮は剥け、身体中湿疹やただれの症状が出た。(自己診断だが、その材料を使わない日が続くと症状が軽くなったので間違いないと思う)
きっと労災扱いにできたとは思う。
でも会社を恨んでるわけでもないのに、労災にして迷惑をかけたくないと思った。
「労災は会社を訴えることだ」というイメージが頭にあったから。
※そもそも労災保険の保険料はもしもの時のために会社が払っているもの。そして給付を出すのは労働基準監督署だ。会社がすでに払っていた保険を使うだけなので気にする必要はなかったかもしれない。
| 論点・疑問 | 事実と法律上のルール |
|---|---|
| 治療費や給付金を 払うのは誰? |
国(労働基準監督署)が支払う。 会社が財布から直接治療費を出すわけではない。もしもの時のために会社が全額前払いしている公的保険を使う手続きにすぎない。 |
| 本人の金銭的メリット | ・医療費の自己負担が0円(健康保険だと3割負担) ・休業補償として給与の約8割が支給される ・「業務上の負傷」としてカルテや公的記録に確実に残る |
| 会社側の不利益 (影響が出るケース) |
① 事務負担と労基署の調査: 事故報告書(死傷病報告)の提出や、安全衛生管理の確認が入る可能性がある。 ② 保険料が上がる可能性(メリット制): 労災事故が多い会社の保険料を最大40%引き上げる制度。ただし**一定規模以上の事業所(労働者数100人以上など)のみが対象**で、小規模な街の事業所・下請けなどは対象外となることが多い。 |
| 労災隠しの違法性 | 仕事中のケガや職業病を「健康保険で受診しろ」と処理するのは健康保険法・労働安全衛生法違反(労災隠し)となり、会社側に刑事罰(50万円以下の罰金など)が科されるリスクがある。 |
会社の事務や労基署対応といった「不利益」がゼロとは言えない。しかし、それを恐れて健康保険を使うと、病院や患者自身が立て替え・切り替えトラブルに巻き込まれ、結果として自分自身が治療費や退職後の手当で数十万円の損失を被る可能性がある。労働者の権利として正しく申請するのが双方にとって正規のルート。
・厚生労働省「労働者災害補償保険法の概要」「労災保険のメリット制について」
・労働基準監督署「労働安全衛生法第100条(労働者死傷病報告の届出義務)」
◾️傷病手当金を使わなかった理由は「社長に悪いから」
仕事を辞めようと考えた時点で、傷病手当金という制度は知っていた。
だけど調べてもアレルギー反応で受け取れるのかはっきりしなかったし、何より休んで社長に迷惑をかけるのが気が引けた。
ただ労災にしていないのだから、傷病手当金の受給資格である「業務外の事由による病気やケガであること」に当てはまったと思う。
痛みと痒みで夜眠れなかったし、仕事をすれば手の皮がさらに剥がれるし...。
だから「せめて特定理由離職者で損を減らそう」と考えていた。
傷病手当金の制度の中身はこの2本に書いてあるので、もしもの時のために確認しておいてほしい。
顔は火傷のような熱感と痛み、手は皮がむけて激しい痒みが襲い、普段では考えられないオリンピック選手ばりの跳躍力でベッドの上を転がり回る羽目に。それでも翌朝「迷惑をかけられない」と現場に向かってしまうのであった。
◾️特定理由離職者になれなかったのは仕事を止めたくなかったから
先に話したことだが、仕事を止めないために僕は病院を変えた。
きっとあの社長なら「病院に行きたい」と伝えれば休みをくれたと思う。
そんな社長だからこそ迷惑をかけたくなかったし、仕事をこなしながらもどうにかしようと思った。
労災は「恨みがないから」。傷病手当金は「社長に悪いから」。
特定理由離職者は「働いていて通えなかったから」。
同じ気持ちが、3つの制度を止めていた。
迷惑をかけたくないと思ったこと自体は、何も間違っていないと思う。
そのうえで勝手なことを言うけど、あなたには仕事のために損をする選択をしてほしくない。
使える制度はしっかり使って、回復の時間を作ってほしい。
客観的に見れば完全に理不尽で自己中な説教だが、「僕と同じ愚かな損をしてほしくない」という歪んだ親心から生まれた本音。僕の失敗を踏み台にして、使える制度は全部かっさらおう。
第7章:退職代行を使って仕事を辞めても特定理由離職者になれる
もしかすると気になってる人もいるかもしれないので伝えようと思う。
退職代行を使っても、特定理由離職者にはなれる。
というのも、仕事を辞める意思を誰が伝えたかは失業保険には関係なく、必要なのはなぜ仕事を辞めることになったかの理由だけだからだ。
もし離職票に退職理由を「自己都合」と書かれたとしても、辞めた理由を証明できれば問題ない。
ただし退職代行を使ううえで注意もある。
運営しているのが民間業者か、労働組合か、弁護士かでできることの範囲が違う。
もしハラスメントが原因で退職代行を使って辞めるなら、民間業者より弁護士に証明してもらった方がいいだろう。
退職代行を使わないに越したことはない。
ただ、状況によっては退職代行を使ったほうが損を抑えられることもあるので知っておいてほしい。
業者の選び方はこっちに書いた。
| 比較項目 | 民間業者 | 労働組合 | 弁護士 |
|---|---|---|---|
| 費用の相場 | 約1〜2万円 (最安) |
約2.5〜3万円 (手頃) |
約5〜10万円 (高額) |
| 会社との交渉 | 不可 (非弁行為) |
可能 (団体交渉権) |
可能 (全権限あり) |
| 有給消化の交渉 | ×(要望のみ) | ◯(交渉可能) | ◯(請求可能) |
| 残業代・慰謝料請求 | × | × | ◯(裁判対応可) |
・「離職票の離職理由」で揉めそうな場合や有給を消化したい場合は、民間業者ではなく最低でも「労働組合運営」を選ぶのが安全。
・悪質なパワハラや未払い残業代があり、会社と法的に戦って会社都合や特定理由離職を勝ち取る必要があるなら、費用をかけてでも「弁護士」一択だと思う。
第8章:特定理由離職者を狙うなら辞める前にやっておくこと
僕は制度の専門家ではないので「この手順が正解」とは言いきれない。
ただ特定理由離職者として失業保険を受給できなかった当事者として、当時の自分に言いたいことだけ書いておく。
損を減らしたいなら、動くのは「辞めたあと」じゃなく「問題が起きてすぐ」だ。
・病気や怪我なら病院に行った時点で、仕事が原因という診断書を出せるか確認する
・診断書を出せるならすぐ出してもらう。出せないなら別の病院で確認する
・当てはまるか何が必要か分からないなら、ハローワークに直接聞く。相談は無料
僕は「仕事が原因という診断書を書いてほしい」と頼んで断られ、そこで諦めてしまった。
だけどハローワークでちゃんと確認すれば、仕事が原因と記載してある必要はなかったかもしれない。(条文では仕事が理由と記載してある診断書が必要とは書かれていない)
もし今過去の僕と同じで特定理由離職者として失業保険を受け取ろうと考えているなら、電話でもいいのでハローワークに相談してほしい。
📋 特定理由離職者と診断書:よくある質問
特定理由離職者になるのに診断書は必ず必要ですか?
診断書を書いてもらえなかった場合はどうなりますか?
退職後に診断書をもらうことはできますか?
「仕事が原因」と書いてもらえないと特定理由離職者になれませんか?
派遣の契約期間が満了した場合も特定理由離職者になれますか?
病気やケガ以外の理由でも特定理由離職者になれますか?
特定理由離職者になると失業保険の日数は増えますか?
傷病手当金と失業保険は両方もらえますか?
労災を使うと会社に迷惑がかかりますか?
退職代行を使うと特定理由離職者になれなくなりますか?
ハローワークには退職する前でも相談できますか?
▶︎派遣で働いていた頃の話|工場派遣はやめとけ?2社使って分かったこと
あとがき:特定理由離職者になれず損はしたが後悔はしていない
僕はハローワークを、失業してからしか用がない場所だと思っていた。
だけど実際は在職中でも相談できるし、お金もかからない。
「自分は特定理由離職者に当たりそうか」「当たるなら何の書類が必要か」を仕事を辞める前に聞いてもいい。
記事を書いておいて身も蓋もないことを言うが、もし自分が特定理由離職者に当てはまるか分からないなら、ネットで調べるより窓口で聞くほうが早いし確実だ。
僕は会社に迷惑をかけたくないと思ったことを、今も間違いだったとは思っていないが、もしもあなたが同じ状況なら自分に優しくしてほしい。
制度は使ってもたぶん誰も困らない。
そのことをあの頃の僕は知らなかった。
もしあなたが今病院にかかっていて退職を考えているなら、次に病院へ行くときに一言だけ「仕事が原因という診断書を出せますか?」と確認してみて。
体質はなかなか変えられないから、判断は早いうちにね🦥
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ナマケ者
ゆる哲学の布教者/個人事業主
5歳で父を過労死で亡くし、HSP気質のまま働き続けた結果、ストレスが限界を超えて諭旨解雇。半年の引きこもりを経て今に至ります。毎日通っていたパチンコは7年近く行っていません。統計や法律は一次資料で確認して書いています。
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