「診断書はありますか?」
ハローワークの窓口でそう聞かれて、答えられなかった人がいると思う。
そこで詰まった人は、たぶん怠けていたわけじゃない。
僕もそうだった。
特定理由離職者という言葉を知らなくてもいい。病気やケガで辞めたのに、自己都合として処理された人の話だ。
この記事は「診断書をもらいましょう」と言うためのものじゃない。
セメントで肌がただれて建設業を辞めた僕が、その診断書をもらえずに失業保険で損をした話だ。もらえなかった理由と、辞める前にやっておくべきだったことを書いた。
先に答えを書いておく。診断書はもらえないことがあるし、一番の理由はたぶん転院だ。
経過を見ていない医師は、仕事が原因だとは書けない。
ただ、この話には続きがある。
僕が病院に頼んだのは「仕事が原因だ」と書いてもらう診断書だった。
でも後になって制度の条文を読んだら、そんなことはどこにも要求されていなかった。
自分でハードルを上げて、勝手に諦めていたんじゃないか?
もくじ(タップで開閉)
- 第1章:特定理由離職者になれると、失業保険はどう変わるのか
- ◾️特定理由離職者になると、国民健康保険料が軽くなることもある
- ◾️特定理由離職者になっても、失業保険の日数は増えない
- ◾️特定理由離職者の要件は「仕事が原因」ではなく「疾病により離職した」
- 第2章:僕が特定理由離職者の診断書をもらえなかった理由
- ◾️顔が腫れた朝、社長が「病院行け」と言った
- ◾️最初の医師は「仕事を続けてる限り良くならない」と言った
- ◾️働きながらだと、病院が開いている時間に仕事が終わらない
- ◾️転院した先の診断名は「アトピー性皮膚炎」だった
- 第3章:ハローワークで「診断書はありますか」と聞かれた日
- ◾️病院に頼んだら「うちでは書けません」と言われた
- ◾️特定理由離職者になれず、僕が損したもの
- 第4章:医師が「仕事が原因」と書けない理由は3つある
- ◾️理由1:原因を特定するにはパッチテストが要る
- ◾️理由2:転院した先の医師は、経過を見ていない
- ◾️理由3:労災と健康保険は同時に使えない
- 第5章:最初から労災として受診しておけばよかった
- 第6章:労災も傷病手当金も届いていたのに、「迷惑をかけたくない」で止めた
- ◾️労災を使わなかった理由は「恨みがないから」
- ◾️傷病手当金を使わなかった理由は「社長に悪いから」
- ◾️特定理由離職者になれなかった理由は「通えなかったから」
- 第7章:労災で会社にかかる迷惑は、会社の規模で決まる
- ◾️ただし、メリット制には規模の条件がある
- ◾️それでも迷惑がゼロというわけじゃない
- 第8章:ハローワークは、仕事を辞める前に行ってよかった
- ◾️辞めると言い出せないなら、伝え方は選んでいい
- 第9章:特定理由離職者を狙うなら、辞める前にやっておくこと
- 📋特定理由離職者と診断書:よくある質問
- あとがき:損はしたけど、後悔はしていない
第1章:特定理由離職者になれると、失業保険はどう変わるのか
まず、何を損したのかをはっきりさせておきたい。
自己都合で辞めると、失業保険はすぐに出ない。手続きをして待期を過ごしたあとに、給付制限という待ち時間がさらに乗ってくるからだ。
特定理由離職者として認められると、この給付制限がかからない。
つまり、受け取れるまでの時間が短くなる。
◾️特定理由離職者になると、国民健康保険料が軽くなることもある
これは僕も後から知った。
会社を辞めると健康保険は自分で払うことになるけど、離職の理由によっては、保険料を計算するときに前年の給与所得を低く見てもらえる仕組みがある。
対象になるかどうかは、ハローワークでもらう受給資格者証に書かれる離職理由のコードで決まる。
(僕は制度の存在すら知らなかった。知っていたら市役所に走っていたと思う)
軽減の割合も対象になるコードも変わることがあるので、住んでいる市区町村のページで確認してみて。
◾️特定理由離職者になっても、失業保険の日数は増えない
ここは勘違いしたまま書かれている記事も多いので、はっきりさせておきたい。
特定理由離職者には2つの型がある。もらえる日数が優遇されるのは、契約が更新されなかった型のほうだ。しかもそれは期限を区切った措置になっている。
病気やケガで辞めた僕のような型は、日数そのものは一般の自己都合と変わらない。
「受給期間の延長」というよく似た名前の制度もあるけど、あれは別物だ。すぐには働けない人が、受け取れる期間を先送りするためのもので、日数が増えるわけじゃない。
早く受け取れる。国保が軽くなることがある。
特定理由離職者になって変わるのは、そこだ。
◾️特定理由離職者の要件は「仕事が原因」ではなく「疾病により離職した」
そして、ここが一番書きたかったところ。
ハローワークが出している特定理由離職者の範囲には、こう書いてある。
体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
出典:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」(厚生労働省)
それともうひとつ、僕が誤解していたことがある。
特定理由離職者は、病気やケガで辞めた人だけのものじゃない。
大きく2つの型があって、当てはまる人はけっこう幅広い。
派遣や契約社員で期間が満了し、更新を希望したのに更新されなかった人がここに入る。
・自分から「もう更新しない」と断った場合は当てはまらない
・3年以上続けて雇われていた場合などは、さらに条件のいい「特定受給資格者」になることがある
・この型は、もらえる日数も優遇される(期限を区切った措置なので、最新の扱いは窓口で確認を)
僕が当てはまるはずだったのがこっち。病気やケガだけじゃなく、家庭の事情も並んでいる。
・体力の不足、心身の障害、疾病、負傷などで辞めた場合
・親の死亡や病気で扶養が必要になった、家族の看護が必要になったなど、家庭の事情が急変した場合
・配偶者や扶養している家族と、別居を続けるのが難しくなった場合
・結婚での転居、保育所の都合、事業所の移転、交通機関の廃止などで通勤が難しくなった場合
・妊娠や出産や育児で辞めて、受給期間の延長を受けた場合
出典:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」(厚生労働省)
さっき「日数は増えない」と書いたのは、②の型の話だ。①なら日数のほうも変わってくる。
ここで大事なのは、診断書が要るのは病気やケガの型だけだということ。
家庭の事情で辞めたなら、必要になるのは診断書じゃなくて別の書類になる。何が要るかは事情によって違うので、そこはハローワークで聞いたほうが早い。
(僕は「特定理由離職者といえば診断書」だと思い込んでいた。入口からしてズレていたわけだ)
「業務が原因の」とは、どこにも書かれていない。
要件は「疾病により離職した」であって、その病気が仕事のせいかどうかは、条文の文面には出てこない。
ただし該当するかどうかを決めるのはハローワークだ。窓口の運用は場所によって違うだろうし、僕が「だから通る」と言い切れる立場でもない。
それでも、これを先に知っていたら、僕の頼み方は間違いなく変わっていた。
第2章:僕が特定理由離職者の診断書をもらえなかった理由
ここからは、僕の身に実際に起きたことを書く。
先に言っておくと、誰も悪くない。医者も、会社も、ハローワークの職員さんも。
それでも詰んだ、という話だ。
◾️顔が腫れた朝、社長が「病院行け」と言った
建設業(金物屋)で、フェンスや手すりを取り付ける仕事をしていた。
セメントやグラウトを混ぜて、ケミカルアンカーを使う。粉は舞うし、手はいつも何かで濡れている。
県外の現場から帰った翌朝、顔がパンパンに腫れていた。
それを見た社長が「病院行け」と言ってくれて、その日の現場はキャンセルになった。
痛いとか痒いとかより、自分の体質のせいで2人の仕事を止めたことに罪悪感があった。
(この日の話は建設業に向いてない人の特徴のほうに詳しく書いた)
◾️最初の医師は「仕事を続けてる限り良くならない」と言った
その足で、地元の皮膚科に向かう。
医師は僕の顔と手を見て、こう言った。
薬で誤魔化せるとは思うけど、
仕事を続けてる限り良くなることはないと思う。
今になって思うと、これは実質的に「仕事が原因だ」と言っていたようなものだった。
でもそれは診察室での口頭の一言で、紙にはなっていない。
この一言が後で効いてくることを、当時の僕は想像もしていなかった。
◾️働きながらだと、病院が開いている時間に仕事が終わらない
薬をもらって、通い続けるつもりではいた。
ただ、現場仕事をしながら病院に通うのは、思っていたよりずっと難しい。
診療時間に間に合うほど早く終わる日はほとんどないし、たまたま早く上がれても休診日だったりする。
行けたとしても、その日の診察はもう埋まっている。
そうやって行けない日が続いて、僕は別の病院に通うことにした。
サボったわけじゃない。働いていると、そもそも通えない。
◾️転院した先の診断名は「アトピー性皮膚炎」だった
新しく通い始めた病院でも、症状はちゃんと見てもらった。手はボロボロだったし、隠しようがない。
仕事で使うセメント系の粉やケミカルアンカーが原因だと思う、とも伝えた。
それでも診断結果はアトピー性皮膚炎だった。
当時は「まぁそれでも大丈夫だろう」くらいにしか考えていない。名前が何であれ、薬をもらって仕事に戻るだけだと思っていた。
職業病だと思っていたものに、体質の病名がついた瞬間だった。
そして僕は、退職日まで普通に働いた。
第3章:ハローワークで「診断書はありますか」と聞かれた日
退職して、失業保険の申請にハローワークへ行った。
受付を済ませて相談窓口に座り、失業保険の申請に来たことと、たぶん特定理由離職者に当たると思うことを伝えた。
すると、こう聞かれた。
「診断書はありますか?」
もらっていない、と答えた。
職員さんは「受給にはまず説明会を受ける必要があるので、その日に診断書を持ってきてください」と言ってくれた。
ありがたい話だ。まだ間に合うということだったので。
◾️病院に頼んだら「うちでは書けません」と言われた
その日のうちに、転院先の病院へ行った。
受付で「特定理由離職者として失業保険を申請したいので、診断書を書いてほしい」と頼む。
「先生に確認します」と言われて、10分くらい待った。
戻ってきた看護師さんの説明は、こうだった。
うちでは、本当に仕事が原因で皮膚のただれが起きていたか分からないので、
仕事が原因という診断書は出せません。
仕事が理由ではない診断書をもらっても仕方がないと思ったので、「わかりました」とだけ伝えて病院を出た。
説明会の日、受付に行って「診断書をもらえなかったので、普通に受給します」と伝えた。
説明会自体は、みんなでビデオを見て1時間ほどで解散だった。
最初に通っていた病院に行けば、書いてもらえたかもしれない。でも一度断られたあとに、もう一軒回る気力はなかった。
◾️特定理由離職者になれず、僕が損したもの
結果として僕は、一般の自己都合として失業保険を受け取った。
給付制限の分だけ受け取りが遅れて、国民健康保険料の軽減も受けていない。
いくら損したのかは、正直きちんと計算していない。人によって金額が全然違う話でもあるし。
ただ「取れたはずのものを取らなかった」という事実だけが残った。
第4章:医師が「仕事が原因」と書けない理由は3つある
正直に書くと、当時は少し疑った。
手の状態は見ているのに、なぜ書けないんだろう。病院にとって何か不都合でもあるんじゃないか、と。
調べてみたら、半分は当たっていた。ただ、僕が想像していたような話ではなかった。
◾️理由1:原因を特定するにはパッチテストが要る
接触皮膚炎で「この物質が原因だ」と言うには、パッチテストという検査で確かめるのが基本になっている。
僕は受けていない。
検査をしていない以上、医師が「セメントが原因です」と紙に書けないのはむしろ誠実な判断だと思う。
◾️理由2:転院した先の医師は、経過を見ていない
症状は見ていても、いつ悪化したのか、休むと良くなるのかは知らない。
「仕事を続けてる限り良くならない」と言えたのは、最初の病院の医師だけだった。
そしてその一言は、カルテにも診断書にも残っていない。
◾️理由3:労災と健康保険は同時に使えない
これが、たぶん「不都合」の正体だ。
仕事が原因の病気やケガに、健康保険は使えない。そこは労災保険の担当になるからだ。
つまり「仕事が原因」と紙に書いた瞬間、それまで健康保険で診てきた分を労災に切り替える話になる。
病院が請求する期限のうちなら病院側で処理できるけど、期限を過ぎていると、患者がいったん全額を払って、健康保険に返してから労災に請求し直すことになる。
病院:これまでの請求を取り下げて、労災保険に出し直す事務が発生する
患者:期限を過ぎていれば、いったん自分で全額を立て替えることになる
出典:健康保険法/各都道府県労働局「よくあるご質問(健康保険で受診した場合)」
不都合は、たしかに存在した。でもそれは儲けの話じゃなくて、制度の作りの話だった。
(あの看護師さんを疑ってしまったのは、こちらが仕組みを知らなかったからだ)
第5章:最初から労災として受診しておけばよかった
ここまで書いてきて、答えははっきりした。
問題は退職のときじゃない。顔が腫れて社長に「病院行け」と言われた、あの日だった。
あの日、労災として受診していたら、こうなっていた。
・健康保険との切り替え問題がそもそも起きない
・仕事が原因だという前提が、最初からカルテに残る
・転院しても、その記録が引き継がれる
・特定理由離職者の診断書も、たぶん出た
あの1日で、そのあとの全部が変わっていた。
そして、セメントは職業性の皮膚炎を起こす代表的な物質として昔から知られている。急性ならアルカリによる化学熱傷、慢性ならクロムによるアレルギーという形で。
労働安全衛生規則が「皮膚に障害を与える物質」として挙げているものの中にも、セメントの主成分は入っている。
つまり珍しくもなんともない、昔から知られた職業病だったわけだ。
それでも僕は、労災を使わなかった。
第6章:労災も傷病手当金も届いていたのに、「迷惑をかけたくない」で止めた
あとから確認して、少し呆然とした。
僕は3つの制度に、たぶん全部届いていた。
◾️労災を使わなかった理由は「恨みがないから」
顔が腫れた日も、その後も、労災扱いにはしていない。
できたとは思う。でも恨みがないのに、そんなことはできないと思った。
労災は会社を訴えることだ、というイメージが頭にあった。
◾️傷病手当金を使わなかった理由は「社長に悪いから」
辞めようと考えた時点で、傷病手当金という制度は知っていた。
調べてもアレルギー反応で受け取れるのかはっきりしなかったし、何より休んで社長に迷惑をかけるのが気が引けた。
だから「せめて特定理由離職者で損を減らそう」と考えていた。
ただ、これも後から分かったことがある。金物屋には最初から社員として入っていて、4年ほど社会保険に加入していた。
つまり加入期間の条件は満たしていた。足りなかったのは、在職中に休んでおくことだけだ。
(休まずに退職日まで働いた時点で、この扉は閉まっていた)
制度の中身はこの2本に書いてある。
◾️特定理由離職者になれなかった理由は「通えなかったから」
そして3つめが、この記事の話だ。
働きながらだと病院に通えなくて、転院して、経過が切れた。
労災は「恨みがないから」。傷病手当金は「社長に悪いから」。
特定理由離職者は「働いていて通えなかったから」。
同じ気持ちが、3つの制度を止めていた。
顔を見て現場をキャンセルして、帰らせてくれた社長だ。
迷惑をかけたくないと思ったこと自体は、何も間違っていないと思う。
第7章:労災で会社にかかる迷惑は、会社の規模で決まる
「労災を使うと会社の保険料が上がる」というのは、よく聞く話だ。
調べたら、本当だった。
労災保険にはメリット制という仕組みがある。その会社で起きた労災の実績に応じて、保険料が一定の範囲で上がったり下がったりするものだ。
会社が嫌がるのは感情じゃなくて、実利の話だった。
だからこの記事で「そんなことありませんよ、堂々と申請しましょう」とは書かない。嘘になるので。
◾️ただし、メリット制には規模の条件がある
ここが大事なところ。
メリット制は、どの会社にも当てはまるわけじゃない。厚生労働省の資料には、適用の条件として労働者の人数や保険料の額の基準が書かれている。
その基準に届かない規模の会社は、そもそも対象外だ。
僕がいた金物屋は、入った時が4人。途中で5人になって、辞める時には3人だった。
基準に照らすと、あの会社はメリット制の対象ではなかった。
僕が労災を使っても、保険料は動かなかったことになる。
数字の基準は制度の見直しで変わることがあるので、厚生労働省の「労災保険のメリット制について」を見てほしい。自分の会社が何人かを数えれば、当てはまるかどうかはすぐ分かる。
◾️それでも迷惑がゼロというわけじゃない
正直に書いておく。
保険料が動かなくても、会社には報告の事務が発生するし、労働基準監督署から確認の連絡が来ることもある。
3人の会社で社長がそれに対応する手間は、決して小さくない。
それに建設業は、無災害の記録が会社の評価に絡む場面がある。あの業界が労災を嫌がるのは、気のせいじゃない。
だから「会社に悪い」という感覚を、僕は否定しない。あれはかなり正しい直感だ。
ただ僕が想像していた迷惑と、実際に起きる迷惑は、別のものだった。
労災保険の保険料は、もともと全額を会社が払っている。そして給付を出すのは労働基準監督署だ。会社の財布から治療費が出るわけじゃない。
つまり労災を使うことは、会社を攻撃することじゃなくて、会社がすでに払っていた保険を使うことだった。
(これを知っていたら、あの日どうしていただろう。正直、今でも分からない)
第8章:ハローワークは、仕事を辞める前に行ってよかった
この記事で一番悔しいのが、ここだ。
僕はハローワークを、失業してからしか用がない場所だと思っていた。
実際は違う。在職中でも相談できるし、お金もかからない。
「自分は特定理由離職者に当たりそうか」「当たるなら何の書類が要るか」を、辞める前に聞ける。
もし聞いていたら、たぶんこう言われていた。経過を見てもらっている病院で、退職前に診断書をもらってくださいね、と。
それだけで、あの転院は詰みにならなかった。
自分が当てはまるか分からないなら、ネットで調べるより窓口で聞くほうが早いし確実だ。僕みたいに、条文の読み方を勝手に間違えることもない。
◾️辞めると言い出せないなら、伝え方は選んでいい
ここでひとつ、誤解を解いておきたい。
退職代行を使っても、特定理由離職者にはなれる。
離職の理由を決めるのは離職票とハローワークで、辞める意思を誰が伝えたかは関係ない。
「代行を使ったら自己都合で固定される」と思って我慢している人がいるなら、そこは切り離して考えていい。
ただし注意もある。運営しているのが民間の会社か、労働組合か、弁護士かで、できることの範囲が違う。離職票の理由について会社と話し合う必要が出た場合、民間の会社は伝えることしかできない。
使わないに越したことはないと思う。ただ、状況によってはそっちのほうが損を抑えられることもあるので、知っておいてほしい。
業者の選び方は、こっちに書いた。
第9章:特定理由離職者を狙うなら、辞める前にやっておくこと
僕は制度の専門家じゃないので、「この手順が正解です」と言えるものはない。
ただ、そこで詰んだ当事者として、当時の自分に言いたいことだけ書いておく。
損を減らしたいなら、動くのは「辞めるとき」じゃなくて「体に出たとき」だ。
・顔や手に出た時点で、仕事が原因かもしれないと病院で伝えておく
・経過を見てくれている病院で、辞める前に診断書をもらう
・頼む診断書の中身を間違えない。「仕事が原因」まで求めなくてもいいかもしれない
・どうしても転院するなら、前の病院の記録を引き継いでもらう
・当てはまるか分からないなら、ハローワークに直接聞く。相談は無料
とくに3つめは、僕が一番やらかしたところだ。
「仕事が原因という診断書を書いてほしい」と頼んで断られて、そこで終わりにしてしまった。条文が求めていたのは、そこまでじゃなかったかもしれないのに。
もし今まさに同じ場所にいる人がいるなら、断られた時点で諦めないでほしい。
📋 特定理由離職者と診断書:よくある質問
特定理由離職者になるのに診断書は必ず必要ですか?
診断書を書いてもらえなかった場合はどうなりますか?
退職後に診断書をもらうことはできますか?
「仕事が原因」と書いてもらえないと特定理由離職者になれませんか?
派遣の契約期間が満了した場合も特定理由離職者になれますか?
病気やケガ以外の理由でも特定理由離職者になれますか?
特定理由離職者になると失業保険の日数は増えますか?
傷病手当金と失業保険は両方もらえますか?
労災を使うと会社に迷惑がかかりますか?
退職代行を使うと特定理由離職者になれなくなりますか?
ハローワークには退職する前でも相談できますか?
あとがき:損はしたけど、後悔はしていない
ここまで「損した」と何度も書いたけど、社長を恨んでいるわけじゃない。
顔が腫れた僕を見て、その日の現場をキャンセルして帰らせてくれた人だ。
あの人に迷惑をかけたくないと思ったことを、今も間違いだったとは思っていない。
間違っていたのは、迷惑の中身についての知識のほうだった。
制度は、誰かを責めるためのものじゃない。使っても、たぶん誰も困らない。そのことを、あの頃の僕は知らなかっただけだ。
もしあなたが今、体に何か出ながら働いているなら。
今日じゃなくていいので、次に病院へ行くときに一言だけ「仕事でこういうものを触っています」と伝えてみて。
それがカルテに残っているかどうかで、あとから選べる手の数が変わる。
🦥
ちなみに肌は、仕事を辞めてから普通に治った。(医者の言ったとおりだった)
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ナマケ者
ゆる哲学の布教者/個人事業主
5歳で父を過労死で亡くし、HSP気質のまま働き続けた結果、ストレスが限界を超えて諭旨解雇。半年の引きこもりを経て今に至ります。毎日通っていたパチンコは7年近く行っていません。統計や法律は一次資料で確認して書いています。
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