- 「人には細かく指摘するのに自分はやってないやん」
- 「完璧を求めてくる上司にもう疲れた」
そうやって日々モヤモヤをつのらせ続けるのは、しんどいよね。
僕が建設業で働いていた頃の社長も職長に完璧を求めていたが、社長の仕事を見ると「人に厳しく言うくせに...」と思うことがよくあった。
🦥 完璧主義の上司に疲れた人へ(この記事の結論)
- 人に厳しく自分に甘く見えるのは、見えているものが違うから:人の仕事は結果しか見えない
- 完璧を求める上司も、上から求められていることがある:社長は「監督に聞かれた時に答えられないといけないから」と言っていた
- 付き合い方は「自分の考えを添えて聞く」:基本のルールがはっきりしてくる
- 人格を否定されるなら我慢しない方がいい:細かいだけならパワハラではないが、度を越せば話は別
これは上司の悪口を書くための記事ではなく、完璧を求められて疲れている人が少しでも楽に働けるようになるため書いた。
5年以上厳しく言われ続けた職長は、社長の考えが変わってからもその感覚が抜けなかった。
完璧主義の上司は、なぜ人にだけ厳しくなるのだろうか?
もくじ(タップで開閉)
- 第1章:完璧主義の上司は「人に厳しく自分に甘い」|建設業の社長と職長の話
- ◾️躯体に合わせて調整した手すりに文句を言う社長
- ◾️「普通にやれば終わるはずやろ」現場を見ていない社長の一言
- ◾️社長の仕事を見に行くと手すりが少し傾いていた
- ◾️「監督に聞かれた時に答えられないといけないから」社長が細かく言っていた理由
- 第2章:人に厳しく自分に甘い上司の心理|完璧主義の上司が他人に厳しくなる理由
- ◾️他人に完璧を求めるのは「他者志向的完璧主義」
- ◾️現場が見えていないと人のミスは「腕のせい」に見える
- ◾️自分の仕事は事情を知っているから「仕方ない」と思える
- ◾️言うことがその場で変わる上司は信用されなくなる
- 第3章:完璧主義の上司との付き合い方|「自分の考えを添えて聞く」を続ける
- ◾️丸投げせずに「こう思ってるけどこの解釈で合ってますか?」と聞く
- ◾️「状況によって変わるのはわかるんですが基本のルールは?」と聞く
- ◾️現場が見えていない上司には「言った」で終わらせない
- ◾️完璧を求められるところとそうでないところを先に聞く
- 第4章:完璧主義の上司に疲れたら|パワハラの線引きと我慢しすぎない判断
- ◾️細かく言うだけならパワハラではない|人格否定や執拗な叱責は別
- ◾️5年以上言われ続けた職長は社長が変わってもすぐには戻れなかった
- ◾️しんどい時は相談や離れる選択をした方がいい
- あとがき:完璧主義の上司も考えを持っていることがある
- 📋 完璧主義の上司に疲れた時によくある質問
そんなモヤモヤを感じたら、当てはまる項目をタップしてみてね。あなたの問題ではなく、上司特有の思考パターンかもしれない。
上司の厳しい言葉を真に受けて「自分が悪いのかな…」と小さくなる必要はない。上司も一人の不完全な人間なんよ🦥▶︎上司も社畜という事実を読む
第1章:完璧主義の上司は「人に厳しく自分に甘い」|建設業の社長と職長の話
僕は建設業(金物屋)で4年くらい働いていたのだが、新築マンションの手すりや、隔て板(ベランダの仕切り板)を取り付ける仕事が主だった。
僕を建設業に誘ってくれたのは従兄弟で、職長(現場のリーダー)をしていたのだが、完璧を求められて社長の前では小さくなる。
社長は金物屋歴20年で、誰より作業が早い人だった。
◾️躯体に合わせて調整した手すりに文句を言う社長
建設業で働くとわかるのだが、躯体(建物のコンクリート部分)は意外と曲がったりねじれたりしている。
手すりや隔て板は、基本的に建物に対してXYZ軸でまっすぐ取り付けるのだが、躯体とのバランスを見てあえて少し曲げたり、ひねらせたりして取り付けることがある。
強度はもちろん大事にするが、他のものと見比べた時の見た目も求められる。
その現場は職長が担当していて、自分の感覚で調整して取り付けたのだが、社長は「まっすぐついてないやん!」とグチグチ言っていた。
見た目のために調整したのに、その調整を「まっすぐじゃない」と言われてしまう。

◾️「普通にやれば終わるはずやろ」現場を見ていない社長の一言
社長は自分が考えた時間で作業が終わらないと、職長に「サボっただろ」のようなことを結構言っていたらしい。
だけど現場は予定通りに進む方が珍しい。
前の工程が押していたり、予定になかった業者が入っていたりして、その場で判断することが多いのだ。
社長はその場を見ていないから、職長に「普通にやれば終わるはずやろ」と言う。
だが職長とたまたま同じ現場にいた別の知り合いが状況を説明すると、社長はあっさり納得した。
「それならそうと言ってくれればいいんに」
笑いながらそう言っていたけど、職長からすれば「言ったけど理解してくれんかったやん」という気持ちだったらしい。
「昨日と今日で、言うことが違う」
こう感じている人は少なくない。働く人500人への調査でも、「言うことがすぐ変わる」は頼りにならない上司の特徴の2位に入っている。
職長は「言ったけど理解してくれんかったやん……」と傷ついていたが、言うことが変わる上司や、話を聞いてくれない上司に困っている人は多い。
上司のクセを知っておくだけでも、自分を責めずに済むんよ🦥
◾️社長の仕事を見に行くと手すりが少し傾いていた
職長があまりに厳しく言われるので「社長はどうやってるんだろう?」と気になり、時間が空いた時に社長の作業を見たり、社長が取り付けたものを見ることにした。
すると手すりが少しこけていたり(傾いていたり)、レベル(水平)が糸3本分くらいズレていたりする。(1ミリくらい)
隔て板を躯体に合わせすぎて曲がってついていることもあった。
職長には「まっすぐついてないやん!」と言うのに、自分も躯体に合わせて曲げていたのだ。
正直「人には完璧を求めるのに自分はやってないんかい」と思った。
躯体が真っ直ぐじゃない以上は完璧なんて無理なんだけど。
◾️「監督に聞かれた時に答えられないといけないから」社長が細かく言っていた理由
その後、僕自身が職長として現場に入るようになった頃に、社長に当時のことを聞いてみた。
すると社長は言う。
「一応なんでやってるかわかるんやけど、監督に聞かれた時に答えられないといけないから言ってた」
というのも、社長が過去に理由があって自己判断で工夫して取り付けた製品に対して、現場監督に「なんでこんな付け方しとるんや」と詰められて説明できずやり直したことが何度かあったらしい。
理由を説明できるようになると「仕方ないな」と納得してくれるようになったのだとか。
手すりは人の命に関わることもあるし、安く請けた仕事なら少しのミスで赤字になることもある。
だから完璧を求めるし、厳しく問い詰めていたらしい。
もしかすると上司が完璧主義と感じるのは、上司なりの考えがあるのかもしれない。
ただ完璧を求める理由があっても、言われる側のしんどさが消えるわけではない。
第2章:人に厳しく自分に甘い上司の心理|完璧主義の上司が他人に厳しくなる理由
職長は社長に完璧を求められ続けたが、完璧を求める上司の話を心理学の言葉で整理してみる。
◾️他人に完璧を求めるのは「他者志向的完璧主義」
完璧主義には自分に完璧を求めるタイプのほかに、他人に完璧を求めるタイプ、周りから完璧を求められていると感じるタイプがあるとされている。(Hewitt & Flett, 1991)
他人に完璧を求めるタイプは、人の仕事を厳しく評価しやすく、相手を責めたり人を信用しにくくなったりしやすいとも考えられている。
ちなみに僕自身は自分に完璧を求めるタイプだった。
好きな子に5年以上告白できなかった話は、別の記事に書いている。
◾️現場が見えていないと人のミスは「腕のせい」に見える
心理学には「対応バイアス」という言葉がある。(Gilbert & Malone, 1995)
本当はその場の状況のせいで起きたことでも、人はその人の能力や性格のせいだと考えてしまいやすい、というものだ。
状況が見えていない時ほど、このズレは起きやすいとされている。
社長の「普通にやれば終わるはずやろ」はまさにこれで、他者から説明されると「それならそうと言ってくれればいいんに」と笑ったのも、状況が見えたからだ。
「言い過ぎた」と反省したのもあるかもしれないが。
📋 同じ現場でも見えているものが違う
| 場面 | 現場にいた職長に見えていたこと | 現場にいない社長に見えていたこと |
|---|---|---|
| 躯体に合わせて手すりを調整した | 躯体とのバランスを見て、見た目のために少し曲げた | 「まっすぐついてないやん!」 |
| 作業が予定通りに終わらない | 前の工程が押していたり、予定になかった業者が入っていたりする | 「普通にやれば終わるはずやろ」 |
| 別の知り合いが状況を説明したあと | 「言ったけど理解してくれんかったやん」 | 「それならそうと言ってくれればいいんに」 |
◾️自分の仕事は事情を知っているから「仕方ない」と思える
逆に上司の仕事は上司自身がその場の事情を全部知っている。
躯体が曲がっていたから合わせた、時間がなかったから少しだけ妥協した。
理由が自分の中にあるから、同じズレでも「仕方ない」と思えてしまう。
社長が隔て板を躯体に合わせすぎていたのも、たぶん社長なりの理由があったのだと思う。
だけど人の仕事となると見えるのは結果だけだ。
人に厳しく自分に甘い上司は性格が悪いというより、自分に見えてることしか信じられないだけなのかもしれない。
だからといって厳しく言われる側が我慢し続ける必要はないが。
◾️言うことがその場で変わる上司は信用されなくなる
社長に不信感を持っていたのは職長だけではない。
建設業に向いてない人の記事で書いた、給料を上げてもらえずに辞めていった先輩もそうだ。
その先輩は、社長の言うことがその場でコロコロ変わることに不信感を持っていたらしい。
現場ごとに判断が変わるのは仕方ない部分もある。
だけど理由が伝わらないと、言われる側には「言うことが変わる人」にしか見えない。
人に完璧を求めるなら、何が「完璧」なのかまで伝えないと部下は納得できるはずがない。
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第3章:完璧主義の上司との付き合い方|「自分の考えを添えて聞く」を続ける
僕は仕事では、わからないことを聞き続けるタイプだ。
最初は「状況による」「任せる」としか言わない上司でも、基準を聞かれ続けるとだんだんルールをはっきりさせるようになる。
どうでもいいことにまで、わざわざ完璧を求めてこなくなるのだ。
◾️丸投げせずに「こう思ってるけどこの解釈で合ってますか?」と聞く
質問力って大事なのだが「どうしたらいいですか?」と丸投げで聞くと、相手は全部を考えないといけなくなる。
🦥 僕がやっていた聞き方
「こう思ってるんですけど、この解釈で合ってますか?」
「状況によって変わるのはわかるんですが、基本的なルールとしてはどう判断すればいいですか?」
まず自分の考えを添えて聞くと、丸投げしていないことも、ちゃんと考えていることも相手に伝わる。
言い負かしたかったり矛盾を責めたいわけじゃない。
単純に基準がわからないから、いい仕事をするために聞いているだけだ。
いい仕事をしようとしている人に怒る上司はたぶんいないと思う。(聞きづらいと感じる人は多いと思うけど)
そう心配する人は多いけど、ハーバード・ビジネス・スクールなどの研究では助言を求めた人の方が、求めなかった人より有能に見られやすいことが確かめられている。
当時は心理学なんて知らず「基準がわからないとやりようがない」と必死だっただけだが、振り返ると、この研究に近いことが起きていたのだと思う。
研究で確かめられたのは「助言を求めると有能に見られやすい」ところまでで、「自分の解釈を添える」は僕のやり方だ。
それでも丸投げせずに解釈を添えていたからこそ、社長は「ちゃんと考えているな」と思ってくれて、「監督に聞かれた時に答えられないといけないから言ってた」と本音を教えてくれたのだと思う。
質問することは「賢く仕事を進めるための武器」なんよ🦥
◾️「状況によって変わるのはわかるんですが基本のルールは?」と聞く
完璧主義の上司は「状況による」と当然のことを言って濁すことがあるが、言われる側からすると一番困る言葉だ。
だから状況で変わることは認めたうえで、基本のルールだけを聞く。
基本のルールがわかれば、あとは自分で判断できる場面が増える。
上司も毎回細かく言わなくて済むようになり、お互いに楽になるのだから聞かない手はないと思う。
◾️現場が見えていない上司には「言った」で終わらせない
職長は作業が遅れた時には理由を社長に伝えていたらしい。
それでも社長が納得したのは、別の知り合いが状況を説明した時だった。
言い方の違いだったのか、言う人の違いだったのかはわからないが、ただ「言ったのに」で終わらせず、相手に伝わったかどうかまで確かめた方がいい。
「今日は〇〇までになりそうです」と理由より先に結論を伝えておくと、現場を見ていない上司でも判断しやすくなる。
職長は理由から話すことが多かったから、社長は「何が言いたいんだろう?」と考えながら聞いていて、理由が頭に残らなかったんだと思う。
ボタンを押して、社長の脳内と返答の違いを切り替えて体感してみてね。(会話は当時の状況をもとにした再現イメージ)
職長は真面目な人だからこそ「なぜ遅れたのか」という現場の事情を詳しく伝えようとして、理由から一生懸命話していたのだと思う。
だが現場を見ていない社長からすると、ゴールが見えない話はただの「言い訳」にしか聞こえなかった。
相手を気遣うなら、状況を細かく語る前に「結論」を最初に渡してあげるだけで、お互いのイライラは減少する🦥
◾️完璧を求められるところとそうでないところを先に聞く
全部に完璧を求められ続けると、言われる側がもたない。
手すりなら、建物に対してまっすぐか躯体に合わせるかどちらを優先するのか、どこまでなら調整していいのかを先に聞いておく。
僕が金属加工の職場で教わった「荒削りと仕上げ」の考え方は、上司と付き合う時にもそのまま使えるのだ。
個人的には報連相は上司の仕事だと思っているが、全部を気付けないこともあるので、こちらから確認してあげるといい。
仕事も人生も同じで、時間も体力も限られているのに「全部を完璧にやろう」なんて無理。
上司に対しても「全部を完璧にやるのは無理ですが、今回の仕事で一番落としちゃいけない優先順位は何ですか?」と先に確認しておくだけで、無駄な叱責や疲労はかなり防げるはず🦥
第4章:完璧主義の上司に疲れたら|パワハラの線引きと我慢しすぎない判断
完璧を求める上司が厳しく言うことがあると思うが、それがすぐパワハラになるわけではない。
どこからが問題なのかを知っておくと、我慢するか離れるかを決めやすくなる。
◾️細かく言うだけならパワハラではない|人格否定や執拗な叱責は別
厚生労働省の指針では、職場のパワハラは「優越的な関係を背景にした言動」「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」「働く環境が害されるもの」の3つを全部満たすものとされている。
仕事のための適正な指示や指導はパワハラにあたらない、とも書かれているのだ。
だから「まっすぐつけて」「時間内に終わらせて」と細かく言われるだけなら、パワハラとは言いにくい。
ただ、人格を否定するような言動や、必要以上に長い時間の叱責のくり返し、ほかの人の前で大声で威圧的に叱ることのくり返しは、パワハラにあたると考えられる例として挙げられている。
完璧を求める言葉が人格否定に変わってきたら、それはもう指導の範囲を超えているかもしれない。
◾️5年以上言われ続けた職長は社長が変わってもすぐには戻れなかった
職長があまりに愚痴っていたので、社長の仕事を見ていた僕は「社長ああ言ってるけど結構やってないよ」と伝えた。
それから職長も社長の仕事を見るようになったし、社長と僕が話したことも伝えた。
それでも職長は「俺には言ってくるから、ちゃんとやっとかないと」と言っていた。
5年以上グチグチ言われ続けた感覚は、すぐには変えられないのだと思う。
上司が変わっても、厳しく言われ続けた側の体は簡単には元に戻らない。

◾️しんどい時は相談や離れる選択をした方がいい
完璧を求められ続けて眠れない、仕事に行くのがつらいという状態が続くなら、我慢し続けるのは危険かもしれない。
社内の相談窓口や、労働局・労働基準監督署にある「総合労働相談コーナー」では、無料で相談できる。
相談する時のために「いつ・誰に・何を言われたか」を書き残しておくといい。
今の自分がどのくらい限界に近いかは、15問のチェックで確かめてみてほしい。
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あとがき:完璧主義の上司も考えを持っていることがある
完璧主義の上司は、ただ意地悪をしてきているように見えることがある。
だけど社長のように考えて説明する力をつけさせるつもりだったり、少しのミスで赤字になる仕事を抱えていたりすることもある。
確かに職長は説明をするのが苦手だった。
それでも、なぜそうしてるか説明すべきだと思うし、その重さを全部あなたが背負う必要はない。
わからないことは聞いた方がいいし、つらい感覚が続くなら離れてしまった方がいい。
僕は自分の考えを添えて聞き続けることで、ずいぶん働きやすくなった。
完璧主義の上司に疲れているなら、まずは一つ基本のルールを聞いてみてほしい🦥
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📋 完璧主義の上司に疲れた時によくある質問
完璧主義の上司に疲れた時はどうすればいいですか?
人に厳しく自分に甘い上司は、なぜそうなるのですか?
完璧主義の上司の細かい指摘はパワハラになりますか?
完璧主義の上司は変わりますか?
上司の言うことがコロコロ変わる時はどうすればいいですか?
📚 この記事で確認した資料
Hewitt, P. L., & Flett, G. L. (1991). Perfectionism in the self and social contexts: Conceptualization, assessment, and association with psychopathology. Journal of Personality and Social Psychology, 60, 456–470.
Gilbert, D. T., & Malone, P. S. (1995). The correspondence bias. Psychological Bulletin, 117(1), 21–38.
厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号)
※2026年10月時点の情報。この記事は法律相談ではないので、具体的な判断は相談窓口に確認してね。
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