- 「話しかけても返事がない。ただのしかばねのようだ」
- 「自分にだけなぜかスンッとする」
そんな人と同じ職場にいると、朝仕事に向かう足が重くなる。
ムカつくが「何か悪いことしたかな?」と考えて、結局なにもできないことあると思う。
無視する人の末路は「孤立」だとよく聞くが、僕が見たのはそれだけじゃなかった。
-
「孤立」だけではない、無視する人の本当の末路
自分がやったことを綺麗サッパリ忘れ、同じことをされた時に激怒して周囲から冷ややかに見つめられる「滑稽さ」の正体。 -
人がいる時だけハブる「見せるための無視」の心理
嫌いだからではなく「観客」に向けて自分の立場を示すために無視する構造を知ることで、「自分が悪いのではない」と腑に落ちる。 -
無視されて深く傷つくのは「心が弱いからではない」科学的根拠
相手がコンピュータだと分かっていても自尊心や存在意義が削られる心理学実験から、脳の自然な反応であることを確認できる。 -
法的なパワハラの境界線と、削られないための「期待の距離」
厚生労働省の3要件を押さえた現実的な記録の残し方と、相手の機嫌に付き合わずに自分を守る付き合い方が身につく。
自分がやったことを忘れ同じことをされた時は怒り、それを周りは黙って見ている。
滑稽である。
ただ、この話には続きがある。
まずは二人きりの時は話すのに、人が集まった途端に無視を始める人の話からしようと思う。
もくじ(タップで開閉)
- 第1章:無視する人の末路は孤立だけじゃなく滑稽さ
- ◾️「孤立する末路」は当たっているけど半分
- ◾️僕を無視し続けた従兄弟が中学時代に言った一言
- ◾️その場にいた全員が黙っていた
- ◾️もうひとつの末路は「自分がやったことを覚えていないこと」
- ◾️記憶を歪ませるのは性格じゃなく立場
- 第2章:無視する人の心理は人が見ている時だけ発動する
- ◾️二人きりになった夜ゲームボーイをやらせてくれた
- ◾️無視は「嫌い」じゃなく見せるための行為だった
- ◾️わざと無視する人を分けると5つになる
- ◾️「自分だけ無視される」が起きる理由
- ◾️性別で分けてもたぶん意味がない
- 第3章:職場で無視する人に起きた僕の経験
- ◾️仲が良かった先輩が急に無視してくるようになった
- ◾️面倒だったから僕も無視で返した
- ◾️折れたのは先に無視してきた方だった
- ◾️被害者と加害者で見え方が違う
- ◾️僕の方が「覚えていない加害者」だった可能性もある
- ◾️無視合戦の終戦後1ヶ月で元に戻る
- ◾️無視はパワハラになるのか
- 第4章:無視された側がしんどく感じるのは自然なこと
- ◾️6歳の僕が自転車を降りて言ったこと
- ◾️無視されて落ち込むのは弱いからじゃない
- ◾️「自分が悪いのかも」と考えるのはおかしなことじゃない
- ◾️理由を探しても見つからないことがある
- 第5章:無視してくる人への対処法
- ◾️無視し返した半年で分かったこと
- ◾️距離を置くのは逃げじゃない
- ◾️職場の無視は記録に残す
- ◾️職場での無視を相談する順番
- あとがき:無視する人の末路は状況によって変わる
- 📋 無視する人の末路についてよくある質問
第1章:無視する人の末路は孤立だけじゃなく滑稽さ
「無視する人は孤立します」と言われるが、実際そういう人は多い。
ただ、僕が体験した少し違う末路を紹介しようと思う。
◾️「孤立する末路」は当たっているけど半分
人を無視し続ければ無視された人は離れる。
困った時に手を貸してもらえなくなるし、情報も回ってこなくなる。
でも、無視する人が全員ひとりぼっちになるかというと、そんなことはない。
僕を無視していた従兄弟は、その後もちゃんと友達がいたっぽい。
グループにも所属していたし、ひとりで過ごしているような人じゃなかった。
孤立する人もいるし、しないまま大人になる人もいる。
じゃあ無視する人にはなんの末路もないのか?というと、僕はそうではない気がしている。
◾️僕を無視し続けた従兄弟が中学時代に言った一言
6歳くらいの頃、僕は隣に住んでいた従兄弟2人と一緒に、2kmほど離れた別の従兄弟の家へよく自転車で遊びに行っていた。
そして毎回、僕だけが仲間外れにされる。
それでも誘われるのが嬉しくて、何度も遊びに行った。
仲間外れは次第にエスカレートしていき、家に上げてもらえなくなり、3人が家に入っていくが僕は自転車をこいで一人で帰ることに。
それから何年も経ち、僕を無視していた従兄弟が言った。
「あいつ人をハブるから、もう付き合わない」
所属していたグループのリーダーが、誰かを無視して自分の立場を保とうとする人だったらしい。
従兄弟はそのリーダーの陰口を言っていたが「どの口が言ってんだ」という感覚だった。
◾️その場にいた全員が黙っていた
僕を無視していた従兄弟とは距離を置いていたんだが、その場には昔一緒になって僕を無視していた従兄弟2人もいた。
誰も何も言わない。
従兄弟のリーダーへの陰口は、ただ流れていっただけ。
たぶんその2人も僕と同じことを思っていたんだと思う。
今でいう「おまいう?」ってやつ。
誰もツッコまない。
言ったところで通じないと分かっているのだろう。
これが僕が見た無視する人の末路だった。
罰が当たるわけでもないし、孤立するわけでもない。(グループの中で孤立してたのかもしれないが)
ただ、本人だけが気づいていない状態で周りが静かに見ている。
この前会った時に妙によそよそしかったから、もしかすると自覚したのかもしれない。
徹底的にハブり抜いた男がいた――
もう付き合わない。」
怒りも復讐も起きず、ただ「おまいう」の視線に囲まれて誰も相手にしなくなる。これこそが無視する人の最も滑稽な末路なんよ🦥
◾️もうひとつの末路は「自分がやったことを覚えていないこと」
従兄弟は自分が棚上げしてる感覚があったわけじゃないと思う。
たぶん本当に心の底から「人を無視する奴は最低だ」と思って言っていた。
オコである。
自分が同じことをしていた記憶がそこにないからだ。
加害の記憶だけが抜け落ちると本人は一生それを反省しないことになる。
反省しないし同じことをされると本気で腹が立ち、本気で相手を責める。
そして周囲は「おまいう?」って心の中でツッコミながら、なんの反応もしめさない。
因果応報と言えば因果応報か。
自分が天井に吐いたツバが降ってきたのに、誰かがツバをかけたと怒っている。
◾️記憶を歪ませるのは性格じゃなく立場
ここまで読んで「そいつが特別ひどい人間なだけでは」と思った人もいると思う。
無視され続けた僕はそう思っていた。
だけど調べてみたら、どうもそういう話じゃないらしい。
🔬 同じ話でも、立場が変わると記憶が変わる
研究者たちが、参加者に同じ話を読ませてから、その話を自分の言葉で語り直させる実験をしている。片方には「あなたが被害者だったつもりで」もう片方には「あなたが加害者だったつもりで」と伝えただけで、内容は同じものだ。
結果:
- 加害者の立場になった人は、情状酌量できる事情や自分の善意を膨らませ、深刻さと自分の責任を示す事実を落とした。
- 被害者の立場になった人は、深刻さに集中して相手の良かった行動を軽く扱った。
そしてどちらも同じくらい歪んだ。「できるだけ正確に話してください」と指示しても、歪みは消えなかったという。
出典:Stillwell, A. M., & Baumeister, R. F. (1997). The Construction of Victim and Perpetrator Memories: Accuracy and Distortion in Role-Based Accounts. Personality and Social Psychology Bulletin, 23(11).
つまり記憶を歪ませているのは性格じゃなく立場だ。
加害者の側に立つと、人は自然に自分の責任を軽くする方向へ記憶を編集してしまいやすい。
そしてこの研究では、被害者の側も同じくらい歪むと言っている。
されたことを大きく、相手の良かったところを小さく覚える。
だからこの記事も「無視する人が100%悪い」では終わらない。
末路の話に戻すと、無視する人は悪人だから覚えていないのでなく、加害者の立場にいると覚えていられないのだ。
小さな違和感をすべて一本の線に繋げ、「意図的な攻撃」として記憶している。
どっちが善人か悪人かではなく、立場が脳のフィルターを勝手に書き換えてしまうんやね。
第2章:無視する人の心理は人が見ている時だけ発動する
ここからは、なぜ無視が始まるのかを書いていく。
僕が見た限り、無視は「嫌い」から始まっていなかった。
◾️二人きりになった夜ゲームボーイをやらせてくれた
従兄弟からの無視が続いていたので、僕は行っても楽しくないしわざわざ自転車で従兄弟の家に行くことはなくなっていた。
7歳くらいの時に、なぜかその従兄弟と2人だけで祖母の家に泊まることになる。
理由は覚えていない。
正直「また無視されるだけだろうな」と思っていたが、従兄弟は持ってきていたゲームボーイを見せ「ポケモンする?」と普通に僕にやらせてくれた。
嫌な顔もせず、わからないことは教えてくれる。
そこにいたのはただの年上の従兄弟だった。
家に上げてくれず無視を続けていた人が、今日は普通に遊んでくれる。
たぶん見ている人がいなかったからなのだと思う。
◾️無視は「嫌い」じゃなく見せるための行為だった
従兄弟は僕のことが嫌いで無視してたんじゃないと思う。
嫌いなら二人きりの夜こそ無視すればいいし、いじめてくればいい。
誰にも止められないんだから。
でも実際は人がいる時だけ無視して、いない時は優しいお兄ちゃんだった。
ということは、あの無視の相手は僕じゃない。
その場にいた他の2人に向けてやっていた。
「誰かを仲間外れにできる権力を持った俺つえぇ」と示すことで、自分の立場を守ろうとしていたのかもしれない。
僕はそのための生け贄だったということになる。
そして大人になって職場を見ていると、これがそのまま起きている。
一対一だと普通に話すのに、人が集まると急に無視する人。
それは観客がいるかどうかで切り替えているのかもしれない。
観客がゼロの時はゲームボーイを貸してくれる優しい人なのに、観客が2〜3人入った瞬間に「スンッ…」と冷たくなり、大勢になると「あいつを下に置ける力を持った俺」を周囲に見せつける道具としてあなたをハブり始める。
無視の宛先はあなたではなく「そこにいる観客」だ。だから「自分が悪いのかも」と悩む必要はないんよ🦥
◾️わざと無視する人を分けると5つになる
無視の全部が見せ物というわけでもない。
僕が見てきた範囲だと、わざと無視する人はだいたい5つに分かれる。
| タイプ | 相手の心理・発動の理由 | 見分け方・こちらの対処法 |
|---|---|---|
| TYPE 1感情で止まっている人(こじれた不機嫌) | 腹が立って感情の処理が追いつかず、口がきけなくなっている。無視というより「拗ね」「子どもの不機嫌」に近い状態。 | 自然回復あり 対処:下手に機嫌を取らず放置。 時間が経って頭が冷えれば勝手に元に戻る。こちらから追うと拗れるだけ。 |
| TYPE 2自覚がない人(キャパオーバー) | 目の前の業務やトラブルで頭がいっぱいで、物理的に人の声が耳に入っていない。悪気や悪意はない。 | 悪意ゼロ 対処:視界に入って話しかける。 後ろから声をかけず、正面から軽く会釈するか、メモやチャットなど別の手段で用件を伝える。 |
| TYPE 3見せるための無視(最厄介・理不尽) | 目的はあなたを傷つけることではなく、周りの観客に「あいつを下に置ける自分の立場」を見せつけること。 | 一番長引く 見分け:二人きりだと話す。 対処:観客を成立させない。 ナメて生け贄に選ばれただけなので反論しても無駄。期待の距離を置き、必要最小限の業務連絡に徹する。 |
| TYPE 4単純に嫌っている人(生理的・相性不一致) | 生まれも育ちも価値観も合わず、関わること自体が相手にとって大きなストレスになっている。 | 修復は不要 対処:無理に関わろうとしない。 全員に好かれるのは不可能。「合わない人間もいる」と割り切り、仕事上の淡々としたやり取りだけで済ませる。 |
| TYPE 5頑張ってみたが諦めた人(好きの反対は無関心) | 以前は期待して注意や指導をしてくれたが「何を言っても変わらない」と見切りをつけ、話すエネルギーすら無駄だと感じている。 | 要自己省察 対処:過去の自分の態度を振り返る。 もし約束を破り続けたり相手を蔑ろにしていた心当たりがあるなら、態度を改める。なければ静かに受け入れる。 |
ナマケ者の分析メモ:
特に3の「見せるための無視」に対して「何か悪いことしたかな?」と反省するのは、相手の劇場に付き合わされているだけで完全に時間のムダなんやね。
この5つは対処が違う。
1・2は放っておけば戻ることがあるが、他は放っておいても終わらない。
無視の営業時間はいつまでも続くが、こちらがどうあがこうとコントロールできることではない。
◾️「自分だけ無視される」が起きる理由
僕のように遊びに行かないと選択ができればいいが、職場で自分だけ無視されていると本当にしんどいと思う。
簡単に距離を取るということができないから。
そうなると、どうしても「無視される原因は自分にある」と考えてしまう。
だけど見せるための無視は、あなたじゃなきゃいけない理由はない。
「この人は下に置いていい」とナメられただけ。
そこに選ばれる条件は、反撃してこなさそうとか、その場で立場が弱いとか、その程度のことだったりする。
6歳の僕が選ばれたのも、たぶん一番年下で文句を言わなかったからだ。
能力でも性格でもなく配役だった。
| 学術的な分類 | 加害者が狙う心理・計算 | 現場での特徴・当てはまる人物像 |
|---|---|---|
| TYPE 1受動的ターゲットSubmissive Target | 反撃コスト=ゼロ 「何をしてもやり返してこない安全な生け贄」 怒らない・波風を立てない・立場が弱いため、加害者は自分の立場を脅かされるリスクなしに手軽に支配感や優越感を得られる。 |
・一番年下、社歴の浅い新人、おとなしい人 ・文句を言わず我慢してしまう優しい人 ・非正規雇用など立場の弱い立場の人 ※6歳の筆者が選ばれたのもこの典型 |
| TYPE 2脅威的ターゲットThreatening / Provocative | 嫉妬と防衛反応 「自分の無能さやポジションを脅かす存在」 相手が優秀だったり人望があるため、加害者自身の自尊心や地位が脅かされる恐怖(Status Threat)を感じ、孤立させて引きずり降ろそうとする。 |
・仕事が速く、成果を出してしまう人 ・誰にも媚びず自立して動ける人 ・理不尽なルールや不正に同調しない人 ・周囲からの人望や評価が高い人 |
ナマケ者の分析メモ:
ターゲットにされる原因は「仕事ができないから」でも「性格が悪いから」でもない。
「安全にストレス発散できる生け贄」か「優秀すぎて相手の嫉妬を刺激してしまった」のどちらかであることが多い。相手の身勝手なリスク計算や劣等感によって配役されただけなので、自分を責めるのは筋違いなんよ。
◾️性別で分けてもたぶん意味がない
「無視する人の心理」を調べると、男性の場合・女性の場合、みたいに分けて説明されていることがある。
だけど僕はそこにあまり意味を感じていない。
男女の考え方の傾向の違いは多少はあるが、無視が始まるスイッチはたぶん同じで、そこにいる観客の数だ。
「そういう性別なんだから仕方ない」で済ませるより「見せる相手がいるかどうか」で判断した方が現実的だと思う。
観客のいない場所と観客がいる場所で関係が変わるというのはよくある。
挨拶という形で出てくる場合はもう少し損得が絡んでくるが、そっちは別で書いた。
第3章:職場で無視する人に起きた僕の経験
ここからは僕が社会人になってからの話をする。
工場でフォークリフトに乗っていた頃、僕は仲の良かった先輩と半年間お互いに無視し合った。
◾️仲が良かった先輩が急に無視してくるようになった
その先輩は、それまでは飲みに誘ってくれるし普通に話す関係だった。
というよりも、仕事の相談も雑談もしていたし、勝手に兄のような存在だと感じていた。
だがある時から仕事中の態度も変わり、話しかけても無視するようになる。
心当たりがまったくなかった。
何かやらかしたなら謝るけど、思い当たるものが本当に出てこない。(今になって思えば、離婚したり友達に裏切られたりした後の時期で、僕自身の態度が前と変わっていた可能性はある)
◾️面倒だったから僕も無視で返した
理由を聞きに行くこともできたが、仕事中はお互い仕事に集中しているし、休憩時間はいつも誰かいるし、電話をかけても出ないしで面倒だったから連絡先を消す。
前にも急に態度が変わったことがあったし、もう一度機嫌を取りにいく気にもならなかった。
だから僕も無視し、話もせず仕事も手伝い合わない日々が半年続く。
工場の中でお互いがいないものとして動く半年だ。
フォークリフトが8台動いている現場で、そのうちの1台とだけ会話がない。
◾️折れたのは先に無視してきた方だった
先輩と無視しあって半年経ったころ、先輩の方から話しかけてきた。
「俺になんかある?」という第一声。
僕は「別に。無視するけ無視しよるだけやけど」と返した。
先輩は「なんかあるやろ?」としつこかったが、本当に何もなかったので「ない。逆にそっちが無視し始めたんだろ」で通した。
もぉ〜平行線。
「なんでなんかあると思ったん?」と聞いても答えないし。
結局落とし所も見つからず、先輩は「仕事がやりづらいけ、前みたいにしよう」と言う。
これが職場で無視する人に起きること。
ただ自分の仕事がやりにくくなる。
自分で自分の首絞めてどうすんの🦥」
◾️被害者と加害者で見え方が違う
「俺になんかある?」
先に無視してきたのは先輩の方(少なくともそれまで無視した記憶はない)なのに、僕の方が何か抱えていることになっている。
あの時は「何言ってんだこの人」と思ったけど、調べてみたらこれもよくあることらしい。
🔬 被害者は積み重ねで覚え、加害者は1回しか見ていない
参加者164人に自分が傷つけられた時の話と、自分が誰かを傷つけた時の話を語ってもらって比べた研究がある。
そこで分かったのは、被害を受けた側は「我慢を重ねた末に出てきた怒り」として語るのに対し、傷つけた側はその1回の出来事しか見ていないということだった。
だから傷つけた側は、相手の怒りを「そこまで怒ることか?」という過剰反応だと受け取ることになる。
出典:Baumeister, R. F., Stillwell, A. M., & Wotman, S. R. (1990). Victim and perpetrator accounts of interpersonal conflict: Autobiographical narratives about anger. Journal of Personality and Social Psychology, 59(5), 994-1005.
先輩から見れば、僕が無視してきた出来事が並んで被害者になっていたんだと思う。
自分が始めたことは記憶の中でとっくに畳まれているのか、半年前のことを言っていたのかはわからない。
この際どちらも被害者でどちらも加害者なんだと思うけど。
◾️僕の方が「覚えていない加害者」だった可能性もある
ここでさっきの研究がこっちにも返ってくる。
立場が記憶を歪ませるなら、僕の記憶も歪んでいる。
「心当たりがない」と僕は言っているけど、心当たりを見落としているだけかもしれない。
人間関係の問題が続いたことで僕の態度がどこか変わっていて、先輩はそれを「攻撃された」と受け取った可能性はある。
もしかするとフォークリフトに乗るだけじゃヒマで歌っていたから、それが癇にさわったのかもしれない。
正直今でも分からない。
まぁ無視する人にも事情があることもあるのだろう。
◾️無視合戦の終戦後1ヶ月で元に戻る
話がまとまり、僕たちは元通りになろうと前みたいに話したし、仕事も手伝った。
「子供みたいな無視合戦は終わったかな」と思っていたが、1ヶ月ほど経つとまた態度が変わり始める。
めんどくさいが、元に戻るという約束だったので僕から「何かしましたか?」と聞く。
返ってきたのは「別に」だった。
その言葉を聞いたのはエリカ様以来だった。
そしてまた無視合戦が始まる。
先輩は無視をやめたかったわけでも元の関係に戻ろうとしたわけでもなく、ただ仕事がやりづらかっただけなのかもしれない。
「前みたいにしよう」で全部解決したと思った僕がたぶん甘かった。
◾️無視はパワハラになるのか
僕の場合は関係ないが、もし無視されて辛くなっている人に知っておいてほしい。
厚生労働省は職場のパワハラを6つの型に分けていて、その3つ目が「人間関係からの切り離し」だ。
中身は「隔離や仲間外れ、無視など個人を疎外するパワハラ」とされている。
⚖️ パワハラは3つの要素を「すべて」満たす必要がある
①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの。この3つを全部満たすものが、職場のパワハラとされている。
6つの型の例には「優越的な関係を背景として行われたものであることが前提です」という但し書きがついている。
ただし①の「優越的な関係」には、同僚や部下からの集団による行為で抵抗や拒絶が困難なものも含まれる。相手が上司でなくても、集団で無視されているなら当てはまる場合がある。
頻度や継続性も考慮されるが、強い苦痛を与える態様なら1回でも該当しうるとも書かれている。
出典:厚生労働省「あかるい職場応援団」パワーハラスメントとは/事業主が講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号)
「無視されたらパワハラだから訴えられる」と単純なものではない。
たとえば僕と先輩のケースは上下はあるけど、僕も無視し返しているし個人間の問題だった。
集団で無視されている場合は状況がまったく違う。
自分がどっちなのかを知っておくのは無駄じゃないと思う。
法的な線引きをもう少し細かく書いたものがあるので、気になる人はこちらへ。
第4章:無視された側がしんどく感じるのは自然なこと
ここからは無視される側の話をする。
6歳の僕が無視されて言ったらしいことや、研究など調べたことも交えながら書いていくので、無視されるのがしんどいと感じている人は読んでみてほしい。
◾️6歳の僕が自転車を降りて言ったこと
第1章に書いた家に上げてもらえなくて一人で帰った日の話に戻る。
その帰り道で、僕は祖母の友達を見かけたらしい。
するとわざわざ自転車から降りてこう話したそうだ。
「ぼくね、なにもわるいことしてないんだよ」
僕はこの出来事をまったく覚えていないが、高校生の時に祖母から「友達が言ってた」と聞かされた。
それだけ言うと自転車に乗って「バイバーイ!またおばあちゃんと遊んであげてね!」と笑顔で帰って行ったらしい。
6歳の僕は、誰かに言わずにいられなかったんだと思う。
おばあちゃんにも同じ思いをしてほしくなかったんだと思う。
ママに心配かけたくないから、たまたま道で会った大人に無視されるしんどさを自転車を降りてまで伝えた。
母親に言うと心配をかけてしまうから、たまたま道で会ったおばあちゃんの友達にだけ自転車を降りて打ち明け、言い終わったら「おばあちゃんと遊んでね!」と笑顔で光速ダッシュで去っていく。おばちゃんからすれば「えっ!?早っ💦」という完全な怪異のエンカウントなんよ🦥
◾️無視されて落ち込むのは弱いからじゃない
無視がしんどいのは、僕の体感じゃなくて実験で確かめられている。
🔬 相手がコンピュータでも、人は無視されると削れる
画面の中でボールをパスし合うだけの簡単なゲームで、参加者を途中から仲間外れにするという実験がある。
その結果、所属している感覚・自分で状況をコントロールできる感覚・自尊心・自分がここにいる意味、この4つがはっきり下がった。
しかも「相手は人間ではなくコンピュータです」と伝えられていても同じような結果になったという。
出典:Zadro, L., Williams, K. D., & Richardson, R. (2004). How low can you go? Ostracism by a computer is sufficient to lower self-reported levels of belonging, control, self-esteem, and meaningful existence. Journal of Experimental Social Psychology, 40(4), 560-567.
相手が機械だと分かっていて、ただのボール投げゲームでもこの場所にいる意味がわからなくなってしんどくなる。
それが毎日顔を合わせる職場で実在の人間から無視され、いつ抜け出せるかもわからない。
無視されるのがしんどいと感じるのは、人間がそういうつくりになっているからだ。
◾️「自分が悪いのかも」と考えるのはおかしなことじゃない
無視されると、ほとんどの人が理由を探し始める。
- 「あの時の言い方が悪かったのかな」
- 「あの日の態度が癇にさわったかな」
- 「もしかするとまだ話し終わってなかったのかな」
自分を責めているというより、脳が原因を探し続ける。
原因が分かれば直せるし、直せば終わるから探す。
まともな反応だと思う。
問題は、探しても無視の理由が見つからない場合があることだ。
「あの時の言い方が悪かったのかな」「まだ話が終わってなかった?」「私の態度が冷たかった?」と、何重もの渦を巻いて思考がブラックホールへ吸い込まれていく。
しかし、第2章で解説した通り「見せるための無視(観客へのマウント)」だった場合、理由の99%はあなたの中にはない。いくら渦の中を探しても答えはゼロ。自責のループに気づいたら、深呼吸して「あ、これ理由ないやつやわ🦥」と強制停止するのが一番なんよ。
◾️理由を探しても見つからないことがある
第2章に書いた「見せるための無視」など、理由があなたの中にないことも多い。
僕と先輩の無視合戦も、結局最後まで理由は出てこなかった。
2回聞いて2回とも「別に」だ。
理由がないんじゃなくて、本人にも説明できないことがある。
だから探すのをどこかでやめていい。
理由が見つからないのは、そもそも明確な理由なんてないからかもしれない。
気にしすぎだと言われてしまう時のことはこっちに書いた。
第5章:無視してくる人への対処法
最後にじゃあどうするかを書く。
僕は無視し返す側もやったので、その結果も含めて書いていく。
◾️無視し返した半年で分かったこと
「無視されたら無視し返せばいい」と個人的には思うが、おすすめはしない。
切ってもいい関係性ならいいが、職場だと仕事がやりづらくなってしまうこともある。
僕は普段から相手ファーストで仕事しているし、与えられた仕事は全部一人でこなす自信があるからそのまま返すが、聞けば早いことを聞けないし、確認が回り道になることもあるだろう。
だから仕事に支障が出る場合は、まず確認するか誰かを挟んで話すべきだと思う。
「別に」と言われればどうしようもないが。
あの時は周りに気を遣わせていたのが申し訳ないと思う。
◾️距離を置くのは逃げじゃない
6歳の話に戻ると、僕は結局「どうせ無視されるから」と、その従兄弟の家に行かなくなった。
これを逃げだと思ってない。
しんどい思いをすると分かっている場所に、わざわざ通う理由がない。
ただ、職場だとそう簡単にいかず、行かない選択が取りにくいからみんな困っている。
だから職場の場合は、物理的な距離が取れないなら期待の距離を置くことになると思う。
仕事だけの関係として興味を持たない。
薄情に聞こえるかもしれないが、無理して関係を良くしようとして削れるよりずっとマシ。
だからこそ、挨拶をスルーされた瞬間に「あ、じゃあやめるねっ!!」と0.1秒で荷物をまとめて帰られるのが一番の天敵だ。
「えっ!?ちょっと待って!冗談だから!明日からの現場ワンオペになっちゃう!!」と血相を変えてすがりついてくる頃にはもう手遅れ。自分の機嫌は自分で取れ、人の尊厳をナメるなという話なんよ🦥
◾️職場の無視は記録に残す
僕と先輩のように、1対1で口をきいてもらえないだけなら、正直そこまでのことにはなりにくい。
ただ、次のどれかが混ざってきたら話が変わる。
- 集団で無視されている(第3章の「優越的な関係」に当たりうる)
- 業務に必要な連絡が回ってこない(仕事の妨害になっている)
- 会議や作業から外されている(隔離に近づいている)
このあたりが出てきたら「日付・誰が・何を」という程度でいいので残しておく方がいい。
僕は弁護士じゃないので、これがどう判断されるかまでは書けない。
ただ、相談する時に「いつ・何が」が言えるかどうかで、話の進み方が変わるのは間違いないと思う。
もし無視に耐えられずに仕事を辞めようと考えているなら、傷病手当金や特定理由離職者などに当たる可能性もあるので制度を知っておいてほしい。
◾️職場での無視を相談する順番
もしも職場で無視されて話し合いもできずしんどい思いをしているなら、いきなり大きいところに行かなくていい。
- まずは社内の相談窓口があるならそこ
- 無いか、相談したところで動かないと分かっているなら社外に行く
- 厚生労働省は都道府県労働局に総合労働相談コーナーを置いている(無料で使える)
大事なのは、解決してもらうためじゃなく選択肢を知るために行くと考えること。
相談してもなにも変わらないこともある。
だからもしもの時のために、その環境から離れるという選択肢は最初から持っておいた方がいい。
やり返す方法を考えている人は、行動する前にこっちを読んでほしい。
やっていいことと、絶対にやってはいけないことを分けて書いてある。
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あとがき:無視する人の末路は状況によって変わる
僕は従兄弟たちに無視されたことを恨んでない。
中学以降もほとんど関わりがないが、単に興味がないからだ。
過去をずっと持ち歩くのはしんどい。
そして、距離を置いて困ったことは今のところ特にない。
先輩の方も同じで、結局あの関係は戻らなかった。
無視する人の末路を知りたくてここまで読んでくれたあなたに、最後に伝えておきたいことがある。
あなたを無視した人がどうなるかはあなたが見届けなくていい。
孤立するかもしれないししないかもしれない。
滑稽な姿をさらして笑われるのかもしれない。
そんな何年先になるのかわからないあの人の末路を確認するまで近くにいる必要はない。
誰かの末路なんて願って待つより「それぞれ勝手に自分の幸せな道を行けばいい」と思える状態であれた方が、きっとこれからの人生で楽しいことを多く見つけられるはず。
無視されてムカつく気持ちもわかるけどね🦥
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📋 無視する人の末路についてよくある質問
無視する人の末路は、本当に孤立ですか?
わざと無視してくる人の心理は何ですか?
職場での無視はパワハラになりますか?
無視されたら、無視し返していいですか?
職場で自分だけ無視されるのはなぜですか?
無視されて落ち込むのは、弱いからですか?
🦥 末路図鑑シリーズ
「あの人はこの先どうなるのか」を、心理学と実体験から書いています。気になるものからどうぞ。
💬 コメント・感想
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