「お風呂、入らないとな」
そう思ってから、2時間経っていたことはないだろうか。
入りたくないわけじゃない。入ったほうがいいのも、分かっている。
分かっているのに動けないから、しんどいのだと思う。
風呂キャンセル界隈なんて言葉ができるくらいだから、そういう人は少なくないはずだ。
僕にも、ほとんど入れなかった時期がある。
髪が背中の真ん中まであって、二交替の工場で働いていた頃だ。
当時は自分がだらしなくなったんだと思っていたけど、今ならたぶん違うと分かる。
この記事は入浴のコツの記事じゃない。足湯をすすめたり、便利なグッズを紹介したりはしない。
気力の出し方の話でもない。何時に入るかを決めるだけの話をする。
ただ、僕には毎日ちゃんと入れていた時期もある。同じ人間で、同じくらい疲れていたのに。
違っていたのは、気力じゃなかった。
あの頃と今とで、何が変わったんだろう。
もくじ(タップで開閉)
- 第1章:風呂キャンセル界隈だった頃の僕は、座った時点で終わっていた
- ◾️風呂キャンセルは、座った瞬間に決まっている
- ◾️「入らないとな」と思っている時間が、いちばんしんどい
- ◾️1日抜けると、2日目のほうが入りにくくなる
- ◾️風呂キャンセル界隈は、入らないと決めているわけじゃない
- 第2章:風呂キャンセルが一番ひどかったのは、髪が背中まであった頃だった
- ◾️髪を伸ばしたのも、切りに行くのが面倒だったからだ
- ◾️面倒なのは風呂じゃなくて、風呂のあとの30分だった
- ◾️今は短髪だけど、それで風呂キャンセルが直ったわけじゃない
- 第3章:風呂キャンセルが止まった理由は、気力じゃなく時刻だった
- ◾️二交替で朝5時に帰る週があると、風呂の時間は決めようがない
- ◾️時間だけはあった半年も、僕はほとんど入っていない
- ◾️建設業の頃は毎日入れていた。気力が戻ったからじゃない
- ◾️「いつかやろう」はやらない
- ◾️仕事に行けるのは、9時が決まっているから
- ◾️休みを決めないと休めないのと、たぶん同じだ
- 第4章:風呂キャンセルをやめる時間は、夜じゃなくていい
- ◾️帰る時間が毎日違うなら、時刻じゃなく順番で決める
- ◾️風呂キャンセルを朝に回すと、乾かす時間が支度に混ざる
- ◾️平日はシャワーで十分だと思う
- ◾️風呂掃除と光熱費が理由なら、そこを先に削る
- 第5章:そもそも、なんのために風呂キャンセルから抜け出したいのか
- ◾️風呂キャンセルをやめたい理由は、人によって違う
- ◾️決めるのは「入るかどうか」じゃなくて「何時か」
- ◾️ただ、これが効かない時もある
- あとがき:風呂キャンセル界隈を抜けた僕が、今も決めていること
- 📋 風呂キャンセル界隈から抜け出したい人からよくある質問
第1章:風呂キャンセル界隈だった頃の僕は、座った時点で終わっていた
まず、入れなかった頃の話をする。
読んでいて「これ僕だ」と思ったら、この記事は最後まで読む価値があると思う。
◾️風呂キャンセルは、座った瞬間に決まっている
帰る。鍵を開ける。荷物を置く。
そして座る。
座ったら終わりだ。
もう立てない。立てないというより、立つ理由が見つからない。
そこでスマホを持つと、さらに終わる。(あれは時間を溶かす機械だと思う)
別に面白い動画を探しているわけでもなく、指が勝手に動いているだけなのに、気づくと1時間経っている。
◾️「入らないとな」と思っている時間が、いちばんしんどい
ここが、たぶん一番きついところだ。
風呂に入っていないこと自体は、正直そこまで苦しくない。
苦しいのは、入っていない自分を見ながら起きている時間のほうだ。
「入らないとな」と思いながら動画を見ている2時間は、
休んでいるようで、まったく休めていない。
休憩なら休憩、風呂なら風呂で、どちらかに振り切れていればまだいい。
だけどあの時間は、休むことにも入ることにも使われていない。
ただ罪悪感を抱えて起きているだけだ。
そして結局入らずに寝て、翌朝に「やっぱり入ればよかった」と思う。
◾️1日抜けると、2日目のほうが入りにくくなる
やっかいなのは、ここからだ。
1日抜けると、次の日はもっと入りにくくなる。
汚れている自覚があるぶん、風呂が急に大掛かりなものに感じる。
ちゃんと洗わないと、という気持ちが乗ってくるからだと思う。
2日目のほうがハードルが高くて、3日目はもっと高い。
入らないほど、入りにくくなる。
気力の問題じゃなくて、坂道がそうなっている。
だから「気合いを入れて一度リセットしよう」という考え方は、あまり効かないと思っている。
坂の上に戻るのが大変なら、そもそも転がらないようにするしかない。
◾️風呂キャンセル界隈は、入らないと決めているわけじゃない
ひとつ言っておきたいことがある。
風呂に入らない人は、入らないと決めているわけじゃない。
「あとで入る」と思っているだけだ。
あとで入るつもりで、23時になり、0時になり、明日が来る。
決めていないから、いつまでも先延ばしできてしまう。
ここに気づくまで、僕は自分がだらしなくなったんだと思っていた。
第2章:風呂キャンセルが一番ひどかったのは、髪が背中まであった頃だった
いちばん入れなかった時期の話をする。
工場でカウンターバランス式のフォークリフトに乗っていた頃で、髪は背中の真ん中まであった。
◾️髪を伸ばしたのも、切りに行くのが面倒だったからだ
先に言っておくと、こだわりがあって伸ばしていたわけじゃない。
切りに行くのが面倒だっただけだ。
予約して、行って、座って、話しかけられて、金を払う。あの一連が面倒で、後回しにしているうちに伸びた。
面倒を避けたつもりだった。
だけどその結果、もっと面倒なものが毎日ついてくることになる。
◾️面倒なのは風呂じゃなくて、風呂のあとの30分だった
髪が長いと、風呂に入ると決めた瞬間に、そのあとの作業が全部ついてくる。
洗う → 流す → 絞る → 拭く → 乾かす
そして乾かし終わるまで、寝られない
湯船に浸かる時間より、そのあとのほうが長いことがある。
つまり僕が面倒だと思っていたのは、たぶん風呂じゃない。
風呂を起点に始まる、一連の作業のほうだ。
ここは上位の解説記事もちゃんと書いていて、入浴後のドライヤーが最大の壁だと言い切っているところもある。
ただ、そこで出てくる答えがだいたい「早く乾くタオルを買おう」「オールインワンのシャンプーにしよう」なのが、当時の僕には少し遠かった。
買いに行くのも面倒だったからだ。(そこまで来ると、もうどうしようもない)
◾️今は短髪だけど、それで風呂キャンセルが直ったわけじゃない
今の僕は短髪だ。
切った理由も、結局「髪を気にすること自体が面倒になったから」で、風呂のためじゃない。
しかも切ったのはかなり最近で、風呂に入れるようになったのはそれよりずっと前だ。
だから「髪を切ったら入れるようになった」とは言えない。
ただ、ドライヤーで乾かす必要がなくなったのは、すごく楽になった。今はハードルがだいぶ低い。
髪を切れとは言わない。切れない人のほうが多いと思う。
ただ「風呂が面倒」の中身が、実は風呂じゃないことはある。
面倒の正体がどこにあるのか、一度だけ考えてみてもいいかもしれない。
第3章:風呂キャンセルが止まった理由は、気力じゃなく時刻だった
ここからが、この記事でいちばん書きたかったことだ。
僕は同じ人間のまま、環境を何度か変えている。そして入れた時期と入れなかった時期が、きれいに分かれた。
① 二交替の工場(髪が長かった頃) 時間を決めようがない → 入れなかった
② 引きこもっていた半年 決めるものが何もない → ほぼ入っていない
③ 建設業 帰ったらすぐ → 入れていた
④ 今(個人事業主) 18時と決めている → だいたい入る
気力が上下したわけじゃない。決められたかどうかで分かれている。
◾️二交替で朝5時に帰る週があると、風呂の時間は決めようがない
当時の勤務はこうだった。
昼勤の週:8時 〜 17時 → 帰宅は18時前後
夜勤の週:20時 〜 5時 → 帰宅は朝の5時すぎ
これが一週間ごとにひっくり返る。
夜勤の週は、朝の5時に帰ってくる。
世間が起きる時間に寝るので、そもそも「夜に風呂へ入る」という前提が存在しない。
しかも夜勤の週は、生活がまるごと裏返る。
飯の時間も、寝る時間も、人と顔を合わせる時間も全部ズレる。
そして一週間経つと、また元に戻される。
体がどっちに合わせればいいのか分からなくなったまま、次の夜勤が来る。(慣れると言う人もいるけど、僕は最後まで慣れなかった)
解説記事にはよく「22時までには入ると決めましょう」と書いてある。
だけど夜勤の週の22時は、出勤して2時間後だ。
「夕食の前に入りましょう」も無理で、その夕食が何時なのかすら分からなくなっていた。
だから決めようがなかった。そこに、乾かすのに30分かかる髪が乗っていた。
◾️時間だけはあった半年も、僕はほとんど入っていない
そのあと僕は問題を起こして諭旨解雇になり、半年ほど引きこもっている。
働いていないので、時間はいくらでもあった。
それでも、ほとんど入っていない。
だから「時間がないから入れない」というのは、少なくとも僕には当てはまらなかった。
ただ正直に言うと、あの半年は時間の問題じゃなかったと思う。
何時と決めたところで、たぶん動けなかった。その話はこっちに書いたので、この記事ではこれ以上踏み込まない。
◾️建設業の頃は毎日入れていた。気力が戻ったからじゃない
半年後、僕は建設業で働き始めた。
そこでは毎日ちゃんと風呂に入っている。
理由は単純で、粉塵をかぶるし、とにかく汚れるからだ。
汚れたまま座る気にならないので、帰ったらすぐ入るようになった。それだけ。
気力が戻ったわけじゃない。むしろ体は毎日ボロボロだった。
それでも入れていたのは、入る時間が勝手に決まっていたからだと思う。
◾️「いつかやろう」はやらない
4つ並べてみて、はっきりしたことがある。
入れていたのは、何時に入るかが決まっていた時期だけだった。
入れなかった頃の僕は、「入らない」と決めていたわけじゃない。
「あとで入る」と思っていただけだ。
そして「いつかやろう」は、たぶん一生やらない。
これは風呂に限った話じゃないけどね。
◾️仕事に行けるのは、9時が決まっているから
考えてみてほしいことがある。
仕事に行くのだって、行きたくない日はいくらでもある。
それでも家を出て、電車に乗って、気づけば職場に着いている。
そして着いてしまえば、なんだかんだ体は動く。
あれは気合いが入っているからじゃなくて、9時と決まっているからだ。
風呂に入れないのは、たぶん逆のことが起きている。何時でもいいから、いつまでも入らない。
そして風呂も、入ってしまえばやることはやる。面倒なのは入るまでだけだ。
◾️休みを決めないと休めないのと、たぶん同じだ
今の僕は個人事業主で、そもそも「帰る」という概念がない。
家で仕事をしているので、区切りを作らないと一日が終わらない。
それでも風呂はだいたい入れている。18時、と決めているからだ。
なぜ決めたかというと、休みと同じだと思ったからだ。
休みを決めないと休めないのと同じで、
風呂に入る時間を決めないと、ずっと入らない。
「疲れたら休もう」と思っている人ほど休まないのを、僕は何度も見てきた。
先に決めておかないと、その日は来ない。
第4章:風呂キャンセルをやめる時間は、夜じゃなくていい
じゃあ何時にするのがいいのか。
ここで大事なことをひとつ。夜である必要は、どこにもない。
◾️帰る時間が毎日違うなら、時刻じゃなく順番で決める
解説記事の多くは「22時までに」「夕食の前に」と書いてある。
あれは、毎日だいたい同じ時間に帰れる人の話だ。
交替勤務やシフト勤務の人、残業がどれだけ伸びるか分からない人には、そのまま使えない。
じゃあどうするか。
生活の時間が決まっている人 → 時刻で決める(18時、22時など)
決まっていない人 → 順番で決める(帰ったら最初に風呂)
時計で固定できないなら、行動の順番で固定する。
帰る時間が毎日違っても、「帰った直後」という順番は毎日ある。
今になって思うのは、あの二交替の頃も「帰ったらすぐ」と決めておけばよかったということだ。
朝5時に帰る週でも、それなら成立していた。
(当時の僕は、そもそも決めるという発想がなかった)
ひとつだけコツがあるとすれば、座る前に決着をつけることだと思う。
靴を脱いだら、そのまま脱衣所まで行く
リビングを通らない。座らない
スマホは風呂の手前に置く
一度座ると立てないのは分かっているので、座る前に済ませてしまう。
「風呂に入るぞ」と気合いを入れる必要はない。
むしろ何も考えずに、荷物を置いた流れのまま脱衣所に行くほうがうまくいく。
考え始めると、だいたい面倒になるからだ。
◾️風呂キャンセルを朝に回すと、乾かす時間が支度に混ざる
もうひとつ、夜をあきらめる手もある。
夜の自分に判断が残っていないなら、朝に回してしまえばいい。
僕も一時期、仕事に行く前に入っていた。
朝のいいところは、そのあとどうせ支度をすることだ。
夜に乾かすのは、寝るまでに増える作業。
朝に乾かすのは、出かける支度に混ざって消える。
髪が長い人ほど、この差は大きいと思う。
もちろん朝に時間がない人には向かないので、そこは自分の生活と相談してほしい。
ちなみに「朝シャワーだけ」でも、僕はぜんぜんいいと思っている。
◾️平日はシャワーで十分だと思う
湯船を張るとなると、話が一気に重くなる。
風呂掃除をして、湯を張って、沸くのを待って、入って、あとで湯を抜く。
入るまでに工程が多すぎる。
だから平日はシャワーだけ、と先に決めてしまうのもありだと思う。
これは僕の勝手な意見じゃなくて、風呂キャンセルを解説している記事を監修している臨床心理士の方も、こう言い切っている。
シャワー浴できる場合は「風呂キャンセル」に該当しません
(東京ガス ウチコト/監修:中島美鈴さん)
つまりシャワーで済ませた時点で、定義のうえではもう風呂キャンセルじゃない。
湯船に入れなかった日を「今日も入れなかった」と数えるのは、自分に厳しすぎると思う。
◾️風呂掃除と光熱費が理由なら、そこを先に削る
入れない理由が風呂そのものじゃない場合もある。
掃除がまだ終わっていない、湯を張ると光熱費がかさむ、家族と時間が合わなくて追い焚きになる。
このあたりが引っかかっているなら、それは気力の話じゃない。
掃除は毎回きれいにしなくていいし、湯船は週末だけでもいい。
先に「やらない日」を決めておくと、迷う回数が減る。
入浴そのものには、血行が良くなるとか寝つきが良くなるとか、いろいろ言われている。
ただ、その話を並べられても入れない時は入れないので、ここでは深追いしないでおく。
第5章:そもそも、なんのために風呂キャンセルから抜け出したいのか
最後に、一度立ち止まって考えてほしいことがある。
なぜ抜け出したいんだろう。
◾️風呂キャンセルをやめたい理由は、人によって違う
理由によって、必要なものが変わってくる。
臭いと思われたくない → 朝でいい。誰かに会う前に入れば足りる
気持ち悪くて寝つけない → シャワーでいい。湯船じゃなくていい
だらしない自分を認めたくない → それは、たぶん風呂の問題じゃない
目的が違うのに、同じ対策を当てはめても続かない。
3つ目がやっかいで、僕もここに長くいた。
風呂に入れないこと自体より、入れない自分をどう思うかのほうが人を削る。
◾️決めるのは「入るかどうか」じゃなくて「何時か」
毎日入らないと死ぬわけじゃない。
1日くらい抜けても、誰も困らないと思う。
ただ「入らないとな」と思ったまま起きている時間は、確実にこっちを削っている。
それがいちばんもったいない。
だから決めるものは、入るかどうかじゃない。
決めるのは「何時か」だけでいい。
決まっていれば、迷う時間が消える。
◾️ただ、これが効かない時もある
正直に書いておきたいことがある。
ここまで書いた「時間を決める」は、たぶん全員には効かない。
僕自身、引きこもっていた半年は、何時と決めたところで動けなかったと思う。
あれは時間の問題じゃなかった。
だからもし決めても何日も動けないなら、決め方が悪いわけじゃない。
たぶん、別のところが疲れている。
眠れないとか、食べられないとか、風呂以外のこともできなくなっているなら、一度だけ誰かに話してみてほしい。
今の消耗度が気になるなら、こっちで測ってみてもいいと思う。
あとがき:風呂キャンセル界隈を抜けた僕が、今も決めていること
僕が今も決めているのは、18時というだけだ。
それ以上のことは何もしていない。
便利なグッズも買っていないし、お風呂を楽しみにする工夫も、正直あまりできていない。
ただ時間を決めた。それで入るようになった。
もちろん守れない日はある。仕事が押すこともあるし、単純にだるい日もある。
そういう日は入らずに寝てしまう。それで自分を責めないことにしている。
決めたものは、守るためじゃなくて、迷わないために決めているだけだからだ。
もし今、風呂キャンセル界隈から抜け出したいと思っているなら。
入るかどうかを頑張って決めなくていいので、何時にするかだけ、先に決めてみてほしい。
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📋 風呂キャンセル界隈から抜け出したい人からよくある質問
風呂キャンセル界隈から抜け出すには、何から始めればいいですか?
何時に入ると決めるのが正解ですか?
交替勤務で帰る時間が毎日違います。時間を決められません。
朝に入るのは風呂キャンセルになりませんか?
毎日湯船に入らないとだめですか?
髪を乾かすのが面倒で、そこで止まってしまいます。
時間を決めても守れません。何日も入れない日が続いています。
ナマケ者
ゆる哲学の布教者/個人事業主
5歳で父を過労死で亡くし、HSP気質のまま働き続けた結果、ストレスが限界を超えて諭旨解雇。半年の引きこもりを経て今に至ります。毎日通っていたパチンコは7年近く行っていません。統計や法律は一次資料で確認して書いています。
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