「なんで自分はこんなにフォークリフト下手なんだろう...」
フォークリフトに乗り始めてすぐの僕は、周囲の先輩たちのスムーズさを見て「やっぱり乗り物に乗るの向いてないな...」と感じていた。
誰かが待っている。
ガチャガチャレバーをいじってもパレットが重ならない。
何をしてもどうにもならず、焦る気持ちのせいでもっと入らない。
この記事は、これからフォークリフトオペレーターになろうとする人と、過去の僕のように「フォークリフト向いてないのかな...」と考えている人のために書こうと思った。
カーブで速度を落とさずに、パレットのボルトを全部ぶちまけたことがある。
何度も、何度もミスをした。
この記事は「フォークリフトの正しい操作方法」の記事じゃない。
教科書どおりにやると現場では通用しない、という話をする。
もくじ(タップで開閉)
- 第1章:フォークリフトが下手すぎた頃の僕の事故一覧
- ◾️リーチフォークでボルトを全部ぶちまけた
- ◾️熱が38.5度あっても出社して部品へダイブ
- ◾️ポリ容器をぶちまけフォークリフト作業を強制停止
- ◾️頭上から降り注ぐ空ポリの雨
- ◾️3段までしか持ってはいけないパレットを6段持って崩す
- ◾️フォークリフトに慣れた先輩たちもぶつけていた
- 第2章:フォークリフトが下手なのは経験した時間の問題
- ◾️フォークリフトが下手なうちはまず体が痛くなる
- ◾️僕はMT車をエンストさせるほど乗り物が苦手
- 第3章:フォークリフトの教科書どおりは現場では通用しない
- ◾️「旋回は広い場所で」と書いてあるが広い場所が無い
- ◾️講習で習った手順を僕は守っていない
- ◾️水平ボタンもレーザーも付いてない機体のほうが多い
- ◾️「同じ荷物を何回も動かすな」は最初は気にしなくていい
- 第4章:フォークリフトが下手なうちは現場のクセを覚えるのが一番早い
- ◾️練習は平坦で広い場所だが現場は複雑
- ◾️「この道は右に傾いてるから」を1個ずつ増やす
- ◾️明日から使えるフォークリフト上達の補助
- ◾️パレットが重ならないときの直し方
- ◾️体当たりで重ねるのはやめたほうがいい
- ◾️ルールを1つだけ決めて絶対に守る
- ◾️フォークリフトが下手なんじゃなくて落ち着けてない
- 第5章:フォークリフトがまだ怖いならその感覚は正しい
- あとがき:フォークリフトが上手いかどうかを決めているのは他人
- 📋 フォークリフトが下手すぎると悩む人からよくある質問
「爪が入らない」「後ろに並ばれて焦る」という苦痛を脱出し、現場で安全かつスムーズに動くための実践的な知恵が身につく。
-
「自分は向いてない」という焦りと自己嫌悪が消える
下手なのはセンスではなく「慣れ(最初の2ヶ月)」と現場の把握不足なだけ。後ろに別のフォークが並んだ時の脳のフリーズをほどき、落ち着きを取り戻せる。
-
教習所では教えてくれない「現場直伝の修正術」がわかる
水平器がなくても爪の傾きを把握する「マスト基準の見極め」や、爪のテープ目印、パレットが真っ直ぐ重ならない時の「3ステップ修正手順」など、現場仕様の道具立てが手に入る。
-
荷崩れ・事故を防ぐ「絶対の単一ルール」で心に余裕ができる
「カーブでは必ず減速する」という1つのルールを身体に染み込ませ、周囲の動きを先回りして読むことで、冷や汗をかく回数を最小限に抑えられる。
第1章:フォークリフトが下手すぎた頃の僕の事故一覧
最終的にはカウンターバランス式フォークリフトで無双してたのだが、まず僕がフォークリフトでやらかしたことを並べておく。
紹介するのは一部だが、読んで「自分のほうがマシだな」と思ってもらえたら嬉しい。
◾️リーチフォークでボルトを全部ぶちまけた
工場内でリーチフォークリフトに乗っていた頃の話。
ピッキングが終わったパレットの山を、出荷場に運ぶためにバック走行していた。
工場というのは複雑なもんで、カーブがたくさん存在する。
最短最速を目指す僕は、フォークリフトの高さを越える荷を抱えているにもかかわらず、カーブで速度を落とさなかった。
一瞬左タイヤが浮き傾く車体。
「ガシャーーンっ!!ガラガラガラガラ-----...」
「もしかして...」と思い荷の方を見ると、さっきまであったはずの物がそこにはない。
地面に散らばった無数のボルトたち。
拾う...。
ただひたすら拾う.......。
一瞬の減速時間をケチったせいで、あり得ないほどの時間を使うことになった。
◾️熱が38.5度あっても出社して部品へダイブ
また別の日。
その日はなぜか頭がぼーっとしている感覚があったのだが、人員がギリギリだったので構わず出社。
不思議なもので、作業を始めると気にならなくなる。
バック走行中に後ろで「ガシャーンっ!!」と音が鳴り、衝撃があったので確認する。
部品の容器が倒れ、部品たちが床に散乱している。
リーダーに報告し作業再開。
パレットを持って前進しカーブに差し掛かるが、なぜか体が思うよう動かない。
「ガシャーンnnnドカーンっ!!」
僕が操作するフォークリフトは進撃を止めることなく、部品の山に突っ込んだ。
リーダーに報告する。
イヤな顔をされたのは言うまでもないだろう。
さすがに自分でもおかしいと思い、帰って熱を計ると38.5度あった。
◾️ポリ容器をぶちまけフォークリフト作業を強制停止
そんな僕も「給料安いから」という理由でその工場を辞め、次の工場でカウンターバランス式フォークリフトに乗り始めた。
一日中フォークリフトに乗るわけではないが、空容器をパレットに溜めてたまに運ぶ作業もある。
フォークリフトより高く積まれたポリ容器の山。
ライン内でフォーク作業をしている人の邪魔をしないよう、アクセル全開でカーブに差し掛かる。
学習していない。
急ハンドルを切ったことにより、崩れてバラバラと転がっていくポリ容器たち。
あの飛距離は、たぶん工場内記録だと思う。
後ろから他のフォークリフトがついて来ていたが、その人も急ブレーキを踏む。
そのフォークの完成品が崩れなかったのが何よりの救いである。
◾️頭上から降り注ぐ空ポリの雨
その空ポリは工場外の置き場に運ぶ途中だった。
道があまり良くなく、少し傾斜のある空ポリ置き場。
すでに置いてある空ポリの山の上に、もう1山重ねようと爪を上げる。
だが爪先がほんの少しだけ後傾していたらしい。
傾斜と爪の後傾により傾き過ぎたポリの山が崩れ、そのままポリ容器が頭上から降り注ぐ。
「コンコンコンコンコンっ」
ポリの山を重ねて爪を抜く時に角度調整しながら抜かないとパレットに引っかかるのだが、それを理解しておらずバック走行時に後ろだけ確認して下がり、ポリの雪崩を経験したこともある。
◾️3段までしか持ってはいけないパレットを6段持って崩す
ポリを倒し、ポリの雨を何度も降らせ、工場内で自動車部品を作業員に供給する仕事をすることになった。
リーダーが操縦するフォークリフトの横に乗り、1週間かけて作業の流れや部品の位置を教えてもらう予定。
「なるほど。わからん」
わからないしずっと人と一緒にいるのがイヤだったんで「わかりました。もう一人で大丈夫です」と伝え、自分でわからないながら模索することに。
なんだかんだでライン内の作業者を待たせず作業できているらしい。
そして1ヶ月ほど経った頃、向上心に火がつく。
その鉄パレットは、現場のルールで3段までしか持ってはいけなかったらしいが、予定を早めた僕はそんなこと知らない。
3段までしか持ってはいけない鉄パレットを6段抱え上げる。
フォークリフトのケツが浮く。
「がこっガチャガチャガチャガチャ...」
5段目と6段目の鉄パレットが崩れ、パレットと材料がフォークリフトに降り注ぐ。
ヘッドガードに乗ったままのパレット。
マストに斜めに立てかけられてる4段目までのパレットたち。
ルールはルールで知らないとだし、なぜそのルールがあるのか理解するのが大事って学んだね。
◾️フォークリフトに慣れた先輩たちもぶつけていた
僕が作業していた工場は、カウンターバランス式フォークリフトが2台すれ違えないくらい狭かった。
僕は材料置き場ではフォークリフトのケツをガンガンぶつけながら作業していたが、慣れた先輩たちもぶつけていた。
どのフォークリフトもケツの塗装は剥がれ、時間が空いた時にパテ埋めしている人も。
工場内でパレットを乗せる台車にぶつかって、ラインの中の作業者に衝突しそうになることもあった。
| 順位 | 事故の型 | 割合 | 現場の典型的な原因 |
|---|---|---|---|
| 1位 | はさまれ・巻き込まれ | 35.4% | マストとバックレストの間、壁やトラックの荷台と車体の間に挟まれる。 |
| 2位 | 激突され | 27.3% | 後退走行時の後方不確認、死角から歩行者が急に飛び出しての衝突事故。 |
| 3位 | 墜落・転落 | 11.9% | フォークやパレットの上に作業員を乗せて高所作業を行い、バランスを崩して落下。 |
| 4位 | 飛来・落下 | 6.0% | 過積載や急ブレーキ、爪の前傾によって荷が前方・頭上へ崩れ落ちる。 |
| 5位 | 転倒(横転) | 5.7% | 爪を高く上げた状態での走行や、カーブを高速で曲がったことによる車体横転。 |
| ― | その他 | 13.7% | 柱や棚への激突、切れ・こすれなど、上記以外の型。 |
第2章:フォークリフトが下手なのは経験した時間の問題
いま「自分はフォークリフトが下手すぎる」と思っている人に聞きたいことがある。
フォークリフトに乗り始めて何ヶ月になるだろう?
2ヶ月経っていないなら、たぶんまだ上手い下手の話じゃない。
解説記事を読んでも、だいたい「最初の3ヶ月は誰でも難しい」と書いてある。
人それぞれだが、僕の感覚だと2ヶ月も乗っていれば少しずつ体が勝手に動くようになる。
◾️フォークリフトが下手なうちはまず体が痛くなる
どの解説記事にも書いていなかったようだが、フォークリフトに一日中乗っているとまずお尻が死ぬ。
膝も痛くなるし、ハンドルを回しすぎて腱鞘炎になる人もいる。
お尻 :一日中座りっぱなしで激痛
膝 :アクセルとブレーキを右足だけで踏み続けて痛くなる
左手首:ハンドルを回しすぎて腱鞘炎
上手い下手考える前に、まず体を慣らす意識をしてほしい。
お尻については、真っ直ぐ座りっぱなしにしないで、右に左に重心を移動させるだけでも少し楽になる。(足組んだり姿勢悪く感じるかもしれないが、お尻が痛いから許してほしい)
自分専用の座布団を持ってきている人もいた。
僕の周りのフォークリフトオペレーターは痔になる人が多く、僕も一度中からこんにちはしてたことがある。(痛くはなかったけど)
ちなみにこの工場は二交替だったので、帰ってから風呂に入る時間も決まっていなかった。
膝は、正直なところ慣れるしかない。
2ヶ月も乗っていれば少しずつ落ち着くと思う。
そして手首が痛いなら、それはハンドルを回しすぎている証拠でもある。
| 順位 | 不調部位 | 主な原因(現場要因) | 現場のリアル |
|---|---|---|---|
| 1位 | 腰(急性・慢性腰痛) | サスペンション無しの路面衝撃、バック走行による上半身の捻転。 | 段差を踏むたびに骨に響く。全身振動と捻転が重なる代表的な負担。 |
| 2位 | 首・肩・背中 | 後方確認のため首・上半身を無理に回し続ける非対称姿勢の継続。 | 振り返る側の首筋が常に張る。寝違えのような痛みが慢性化。 |
| 3位 | お尻(座骨痛・痔) | 硬いシートへの長時間圧迫、座骨への振動直撃による局所うっ血。 | 午後になると座ること自体が激痛。マイ座布団の持参者が続出。 |
| 4位 | 左手首(腱鞘炎) | ハンドルノブを片手で握り続け、狭い通路で激しく切り返す負荷。 | 回しすぎで手首の腱に激痛。脱力してハンドルを回すコツが必要。 |
| 5位 | 右足・右膝 | アクセル、ブレーキ、インチングペダルの連続した細かな踏み込み。 | 足首と膝の皿の奥が疲労。夕方になると右足がつりそうになる。 |
◾️僕はMT車をエンストさせるほど乗り物が苦手
ここで「フォークリフトはセンスが大事」なんて考えてる人に言っておきたいことがある。
僕はMTの免許を持っているけど、軽トラを運転してもエンストさせる。
建設業時代に何度かMT車を運転する機会があったが、毎回エンストさせては笑われていた。
つまり僕がフォークリフトを上手くなったのはセンスがあったからじゃない。
ただ、乗った時間とイメージした時間が人より長かっただけ。
第3章:フォークリフトの教科書どおりは現場では通用しない
「フォークリフト 下手」で検索すると、だいたい同じことが書いてある。
・旋回は広い場所で行いましょう
・同時操作はしないで、ひとつずつ確実に
・水平ボタンやレーザーを活用しましょう
・基本に忠実に、急がない
全部正しいし、フォークリフトの資格を取得する時もこう習う。
ただ、現場でそのとおりにやれている人を僕は見たことがない。
◾️「旋回は広い場所で」と書いてあるが広い場所が無い
僕が作業をしていた工場も材料置き場も、カウンターが2台すれ違えない幅だった。
通路内で旋回できないし、交差点まで行けば旋回できるが、交差点まで行き戻ってきて作業していたら1分はかかってしまう。
そんなことを繰り返していたらラインが止まってしまう。
材料に爪を刺しながらか、爪の幅を縮めながら横を向く。
あるいは爪を思いきり後傾させ、フォークリフトより高い位置に持っていく。
そうすることでしか作業を進められない場所もある。
| 区分 | 基準(数値の目安) | 現場の運用実態と解説 |
|---|---|---|
| 1. 労働安全衛生規則 | 走行通路幅の数値規定なし (安全な通路の確保義務のみ) |
第543条の「幅80cm以上」は機械と機械の間の通路の話。リフトが走る幅の数字は無い。 |
| 2. カタログ値(JIS仕様書様式) | 直角積付通路幅 =理論上の最小値+旋回余裕200mm |
カタログの数字は「荷を積んで直角に曲がれるギリギリ」。余裕は20cmしか見ていない。 |
| 3. 運用現場(リアル) | 1.5tリフト 2台ギリ不可 (幅2.0m以下など) |
走行幅の数値規定が無いので、現場が『作業に必要』と言えば車幅ギリギリになる。 |
◾️講習で習った手順を僕は守っていない
止まる→爪の高さを調整する→前進しながら爪をパレットに差し込む→止まる→荷を持ち上げる→後ろを確認して少し下がる→止まる→適正な高さに荷を調整する→後ろを確認して下がる。
講習ではそう習った。
その通りにしたいけど、そんなことをしていたら現場が止まる。
足場鳶の記事でも書いたが、安全講習の内容と現場はだいたい乖離している。
念のため言っておくと「だから守らなくていい」という話じゃない。
ただ守れない状況を作っている上層部には「どうなん?」って気持ちはある。
安全と効率は、ほとんどの場合反比例する。
◾️水平ボタンもレーザーも付いてない機体のほうが多い
解説記事には「水平ボタンやレーザーを活用しよう」と書いてあることもある。
だけど僕が見てきたフォークリフトにそんな物が付いていたことはない。
そして付いていない機体でどうするかがどこにも書いていないが、僕は「爪の水平がわかりづらい時はマストの倒れ具合を覚えるといいよ」と先輩に教えてもらった。
フォークリフトに座った状態で上から爪を見ても、最初はどのくらい傾いているのか平行なのか、まったく分からない。
だけどマストの角度なら、目で見て覚えられる。
(水平器があるなら、マストに貼ってしまうのもありだと思う)
| 確認方法 | 見方・やり方 | メリット・現場のリアル |
|---|---|---|
| マストの傾き★ | 運転席の前柱(フロントピラー)とマストの外枠が平行になっているかを見る。 | 爪を見なくても座った姿勢のまま確認可能。一番狂いにくく基本となる見方。 |
| シリンダー目印 | 平坦な場所で水平にした時のチルトシリンダーロッドにテープやペンで印をつける。 | 印の位置までピストンを動かすだけ。初心者でも一発で同じ角度を再現できる。 |
| 地面スレスレ確認 | 爪を地面から5〜10cmまで下げ、爪先と根元の隙間が均等かを見る。 | 目視で直感的にわかりやすい。パレットに刺す直前の微調整に最適。 |
| 爪の上面の厚み | 運転席から見て、爪の上面(平らな面)が見えなくなる境界線を覚える。 | 前傾すると爪先しか見えず、後傾すると上面が広く見える遠近感を利用した感覚技。 |
| マグネット水準器 | ホームセンター等の小型水平器をマストの横やダッシュボードに貼り付ける。 | 目で気泡を見るだけ。ただし機体の振動でズレやすいので固定に工夫が必要。 |
「地面に対して水平」にこだわるのではなく「差し込むパレットの傾きと平行になっているか」を常に意識して、現場に合わせてわずかに前傾・後傾の補正をかけてほしい。
◾️「同じ荷物を何回も動かすな」は最初は気にしなくていい
これも解説記事に書いてあったことだが、効率が悪いから言ってるんだと思う。
確かにその通りで、一度置いた物をまた持ち上げて別の場所に置いて...と繰り返していると、時間が無駄にすぎていく。
が、効率なんて経験した結果見えるもので、最初から考えていたらフォークリフトに慣れるのが遅れてしまう。
というのも脳は複数のことを同時にこなせるようにはできていないからだ。
まずは効率なんて考えずに、言われたことを言われたままにこなして慣れるようにしてほしい。
第4章:フォークリフトが下手なうちは現場のクセを覚えるのが一番早い
じゃあどうすれば上手くなるのか?
僕の結論は、下手なりに数をこなすことに尽きる。
当時の僕は一日中止まることなくフォークリフトを操作し続けた。
ただし、ただこなすだけではなかなか上手くならない。
◾️練習は平坦で広い場所だが現場は複雑
フォークリフトの資格を持ってるからといって即戦力ではないことを理解している現場は多い。
現場ごとに使うパレットも荷の重量も違うと、実際にフォークリフトに乗ったことがある現場監督者が理解しているからだ。
なので練習をさせてくれることがあるが、だいたい平坦で広くて誰もいない場所。
最初はそれでいい。
だけど作業場が斜めになっていたり段差があったりすると、練習どおりに乗っても上手くいかない。
本番の中で練習するしかないのが現実だと思う。
◾️「この道は右に傾いてるから」を1個ずつ増やす
「練習で上手くなっていた気がしてたけど現場で乗ると下手になった気がする」
こう感じたことがある人は多いと思う。
いつものフォークリフトと別のものに乗ると下手になった気がすることも。
それは現場の段差や傾きや、フォークリフトのタイヤの大きさが関係しているかもしれない。
というのも、フォークリフトの操作では数cmの違いが意外と大きな影響を与える。
なので自分の腕を疑うのではなく、環境や道具を疑う意識を持ってほしい。
- 「この道は少し右に傾斜がある。普通より気持ち右に寄せた状態で重ねないといけない」
- 「このパレットは穴が小さめで、上からストンと落としても重なりにくい。まずバックレストに当てて爪を後傾させ手前だけ重ね、そこから爪を前傾させて奥も重ねる」
こういうのを1個ずつ考えながら増やしていくと、気づいた時には大幅に時間を短縮できるようになっているはず。
◾️明日から使えるフォークリフト上達の補助
濡れて滑るとき → 爪を地面と平行にする。ほぼ滑らなくなる
根本まで刺せない小さいパレット → マスキングテープを爪に一周巻いて印にする
鉄パレットは、油が付いていたり雨に濡れていたりすると、爪の上で思いっきり滑る。
急ブレーキを踏んだ瞬間パレットが前に滑り材料をこかしたこともあるので、運搬時は必ず爪を後傾させる。
パレットが小さい場合は、爪の差し込みが深すぎると奥のパレットまで持ち上げて倒すし、浅すぎると前に転がる。
爪にテープを巻いておくと、差し込む範囲がわかりやすいのでおすすめ。
そして爪が濡れた状態で小さなパレットを爪先で持って重ねないといけない時は、爪が傾いていると滑って思わぬ角度になることがあるので、平行に持ち上げるようにしてみてほしい。
◾️パレットが重ならないときの直し方
僕は荷をどんな持ち方をしていようが重ねられるよう練習したが、最初はそんな横着をせずにパレットをバックレストにしっかり当て、真っ直ぐの状態にしてから重ねる。
もしバックレストに当たって重ねられないときはこうする。
① バックレストに当てて真っ直ぐにする
② そのまま下に置く
③ ハンドルを真っ直ぐにして、真っ直ぐ下がって持ち直す
これで真っ直ぐの状態になる。慣れてきたら、バックレストに当てなくても重ねられるように練習していけばいい。
◾️体当たりで重ねるのはやめたほうがいい
自動車関係で使われる鉄パレットは4本足で作られていることが多いと思うが、手前だけ重なって奥が入らないとき、フォークでドンっと体当たりして無理やり重ねる人がいる。
僕もやったことがある。
ただ、毎回やってる人に対してライン内の作業者が「あの人、怒ってる?」と心配していた。
音が大きいと、それだけで機嫌が悪い人に見えるらしい。
フォークリフトの操作のせいで、無駄に人間関係をこじらせないよう気をつけたい。
◾️ルールを1つだけ決めて絶対に守る
最後に、これだけは決めておいてほしい。
カーブでは、絶対に速度を落とす。
これを確実に守るだけで、荷を横転させるリスクはかなり下がる。
同じように急ブレーキと急発進も、荷の高さや重さが増すほど崩れやすくなる。
急操作をしないクセを先につけておいてほしい。
人が飛び出してきたときの急ブレーキは仕方ない。
だけど飛び出してきそうな死角を先に覚えておいて、手前で減速しておくことはできる。
| 事故の型 | 死傷災害 | 死亡災害 | そこから読み取れること |
|---|---|---|---|
| はさまれ・巻き込まれ | 35.4% | 22.7% | 件数はいちばん多い。車体と壁・荷台の間、マストとヘッドガードの間。 |
| 激突され | 27.3% | 18.0% | 後退時の後方不確認と、死角からの歩行者。件数の割合より死亡の割合は低い。 |
| 墜落・転落 | 11.9% | 18.0% | 件数より死亡の割合のほうが高い。爪やパレットに人を乗せる高所作業。 |
| 飛来・落下 | 6.0% | 11.7% | 死亡の割合が約2倍。過積載、急ブレーキ、爪の前傾で荷が崩れる。 |
| 転倒(横転) | 5.7% | 17.2% | 件数は少ないのに、死亡では3倍。爪を上げたままの走行とカーブの速度。 |
墜落・転落と飛来・落下も同じ傾向で、どれも荷の高さ・速度・爪の角度が絡んでいる。守るルールを1つだけ決めるなら、ここを潰すものにしたほうがいい。
◾️フォークリフトが下手なんじゃなくて落ち着けてない
ある程度フォークリフトの操作に慣れてくると気づくことがある。
上手い下手を分けているのは、操作の精度だけじゃない。
ラインの作業者や周囲のフォークリフトの動きを、どれだけ予測して合わせられるか。
というのもフォークリフトではメンタルが大事で「冷静な時はできるのに忙しくなったり人に待たれていると上手くいかない」なんてことがよくある。
だから人を待たせないよう作業場が被らないようにしたり、いつどのタイミングでフォークリフトが必要になるかを理解しておくだけで落ち着くことができる。
これができるようになると、無駄に人の作業を待つ時間が減るし、作業全体が速くなる。(この話をしだすと長くなるので、また別で書く)
と言ったが、これはフォークリフト操作のミスが減った段階で考え始めるのがいいと思う。
同じ工場で起きていたことはこっちにも書いた。
第5章:フォークリフトがまだ怖いならその感覚は正しい
フォークリフトは正しく使えば便利だが、下手をすれば誰かの命を奪ってしまう道具でもある。
そして僕のように部品をダメにして損害を出すことも。
怖いというのは、危ないことが分かっているということ。
慣れて怖くなくなった人より、ずっとまともだと思う。
ただひとつだけ。
失敗を恐れて行動しない人間は成長もしない。
恐怖は捨てず、体調が悪い日は正直に「フォークリフトに乗れない」と伝えてほしい。
僕の現場では、フォークリフトで台車にぶつかって、ライン内の作業者に衝突しそうになったことがある。
あれが当たっていたら笑い話にはなっていないだろう。
速さばかり求めず、安全にも気を遣いながらフォークリフトオペレーターの道を進んでほしい。
フォークリフトは神経使ってしんどいから、ストレス溜まってないかこっちで測ってみて。
▶︎このフォークリフトの職場に、面談した日の夜勤から入った話|工場派遣はやめとけ?
あとがき:フォークリフトが上手いかどうかを決めているのは他人
僕はあの現場でカウンターバランス型フォークリフトに乗り始めて、2年で「あいつが一番上手い」と言われるようになった。
だけど僕は、自分自身で上手かったとは思っていない。
機械の能力を全部引き出せてはいなかったから。
フォークリフトの上手い下手を決めているのは、たぶん他人だ。
自分の中の基準で見たら、たぶん終わりは来ない。
自分で「フォークリフトが下手すぎる」と考えられる人は、失敗して改善してを繰り返していけば、気づいたときにはその現場で誰よりも上手くなっていると思う。
あなたの思うフォークリフトが上手い人も、僕みたいに物をぶちまけて成長してきたはず。
こんな記事もどうでしょう⬇️
【実録】貯金をしない人の末路は自由に選択できない未来|僕が貯金しようと考えた理由ナマケ者のスロー日記
【実録】足場鳶になる前に知ってほしい|日当8,000円で「使い放題」と言われて辞めた話ナマケ者のスロー日記
新しい職場で頑張りすぎる人の末路。「限界サイン」の見分け方と心を壊さない生存戦略ナマケ者のスロー日記
【うつ・ADHD】仕事辞めたい人はdodaチャレンジで「働きやすい職場」へナマケ者のスロー日記
転職活動に疲れたら:転職エージェントで楽して環境を変える人生再スタート術ナマケ者のスロー日記
📋 フォークリフトが下手すぎると悩む人からよくある質問
フォークリフトが下手すぎます。向いていないのでしょうか?
どれくらいで上手くなりますか?
練習させてもらえないのですが、どうすればいいですか?
爪が水平かどうか分かりません。どうすれば感覚がつかめますか?
パレットを真っ直ぐ重ねられません。
一日乗るとお尻や膝が痛いのですが、普通ですか?
怖くて運転できません。辞めたほうがいいでしょうか?
ナマケ者
ゆる哲学の布教者/個人事業主
5歳で父を過労死で亡くし、HSP気質のまま働き続けた結果、ストレスが限界を超えて諭旨解雇。半年の引きこもりを経て今に至ります。毎日通っていたパチンコは7年近く行っていません。統計や法律は一次資料で確認して書いています。
💬 コメント・感想
記事の感想や質問など、お気軽にどうぞ 🦥
いただいたコメントは、確認のうえ順次このページに表示させてもらいます。
※URLやリンクは投稿できません(自動的に非表示になります)。
※宣伝・誹謗中傷・スパムと判断したコメントは表示されません。
※返信が必要な場合はお問い合わせからどうぞ。